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イスラム女性は柔道NG? インドネシア、アジア・パラ大会で国際連盟の規定が問題に

2018年10月9日(火)17時00分
大塚智彦(PanAsiaNews)

ヒジャブをつけたままの出場を許されず不戦敗となったミフタル・ジャナ選手 GTV News/YouTube

<イスラム教徒の女性が頭部を隠す「ヒジャブ」の使用をめぐりパラ大会の柔道競技で問題が発生。宗教か、安全性かの問題は東京五輪への課題ともなった>

インドネシアの首都ジャカルタで10月6日から開かれている障害者のスポーツ大会「アジア・パラ大会」。8日に始まった女子柔道の試合をイスラム教徒のインドネシア人女性選手が拒否する「事件」が起きた。イスラム教徒の女性が頭部、頭髪を覆う「ヒジャブ」と呼ばれるヘッドカバー(ヘッドスカーフとも)を着用したままでの試合参加が国際柔道連盟のルールで認められておらず、選手自身もヒジャブを脱ぐことを拒否したため、試合への参加が叶わず「不戦敗」となってしまった。

柔道に限らず国際スポーツの現場ではイスラム教徒の女性が着用する「ヒジャブ」の可否を巡って議論が続いており、テコンドーや空手の現場では着用を認めるケースが増えているが、柔道ではごく一部の例外を除いて依然として着用禁止が続いており、イスラム教徒の女性選手を抱える国からは「ルール見直し」を求める声が高まっている。

インドネシア柔道コーチが規則を知らず

10月8日にジャカルタ・クマヨランにある「ジャカルタ・インターナショナル・エキスポ」で行われた女子柔道52キロ級にインドネシア代表として参加を予定していたミフタル・ジャナ選手は、試合開始直前に「ヒジャブを着用したままでは出場できない」旨の通告を競技関係者から伝えられた。

関係者によると柔道競技の服装について国際柔道連盟の試合規定に「長い髪は試合相手の迷惑にならないようにヘアバンドで束ねる。頭部は医療目的で使用される包帯やテーピング以外で覆ってはならない」(第4条第4項)とあり、これに準拠してミフタル選手にヒジャブを脱いで試合に臨むよう求めた。

しかしミフタル選手がこれを断固として拒否し、競技への参加をも拒んだため、相手の「不戦勝」が決まった。黒いヒジャブで頭部を覆ったミフタル選手が泣きそうな表情でコーチらに肩を抱えられて試合会場を後にする映像がテレビやインターネットなどで流れた。

柔道専門家は「柔道の場合、組み手や投げ、寝技などでヘッドカバーが絡まり、首が絞まることにもなりかねず危険というのが禁止の主な理由だと思う」と話している。

その後記者会見したインドネシア・パラリンピック委員会(NPC)のスニ・マルブン会長は「インドネシア側のミスが原因で生じた結果であり選手、関係者には申し訳ない」とインドネシア側の手違いが原因との見方を示した。同会長によるとNPCが指名したインドネシア女子柔道のコーチが英語力不足もあり、競技に関する服装の規定を知らなかったことが原因と説明した。

さらに同会長は「ルールを知らなかったという今回の出来事は恥ずかしいことであり、関係者に謝罪する。二度と将来同じことが起きないよう努力する」と全面的に非を認めた。

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