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革新者オノ・ヨーコが語る「走り続けた」50年

YOKO ONO

2018年10月12日(金)16時50分
ザック・ションフェルド

伝説のパフォーマンス「ベッド・イン」の再現イベント Kevin Mazur/GETTY IMAGES FOR THE JOHN LENNON EDUCATIONAL TOUR BUS

<ジョンとヨーコのアルバム『トゥー・ヴァージンズ』の発表から50年――今なお最先端のアーティストとして活動するオノ・ヨーコに聞いた>

オノ・ヨーコとジョン・レノンは1968年、フルヌードのジャケット写真に前衛音楽を詰め込んだアルバム『トゥー・ヴァージンズ』を発表してビートルズファンを驚愕させた。それから50年、世界がようやくオノに追い付きつつあるようだ。

何十年もの間オノは、ビートルズの解散の要因になったと不当に非難され続け、彼女のアーティストとしての才能は軽んじられてきた。だがそれも、結局はロックの世界に長年巣食っていた女性蔑視の空気を反映していたにすぎない。オノの前衛性と大衆性を兼ね備えたアーバンポップな作品と超現実主義、反戦の姿勢は、今また新たな世代にも受け入れられつつある。
 
85歳になったオノは9月、1969年にレノンと共に行ったベトナム戦争反対の伝説のパフォーマンス「ベッド・イン」の再現イベントをニューヨークで行った。ただし今度は、元ビートルズのリンゴ・スター(冒頭写真中央)と俳優のジェフ・ブリッジス(同右)とのベッド・インだ。さらに10月19日には新アルバム『ウォーゾーン』を発表する。平和へのメッセージをちりばめ、「イマジン」も収録したオノに、メールで話を聞いた。

***


――歴史的なベッド・インを再現するのはどんな気分だった?

リンゴが温かな雰囲気を振りまき、終始みんなを笑わせてくれた。彼はこの(レノンの代わりの)役にうってつけだった。

――『ウォーゾーン』で、80年代に発表したレーガン時代のミサイル防衛構想に抗議する楽曲を多数使用した意図は。

今の状況と重なっているから。歌の内容が現在に当てはまることに、驚きあきれている。

――73年の楽曲「ウーマン・パワー」では「女性の世界の到来」を歌った。当時、#MeToo 運動なんて予想できた?

私が曲に書く出来事は大抵、すごく後になって現実になる。

――(昨年、作詞・作曲にレノンと共にオノの名前が公式に追加された)「イマジン」に対する姿勢は変わったか。

何も変わらない。ジョンと私はこの曲に精神的エネルギーをそそぎ込んだ。(この歌は)長い間残り続けると思っていた。

――ドナルド・トランプが大統領に選ばれた時、あなたは自らのツイッターに怒りの叫び声を音声で投稿した。ここまでのトランプの仕事ぶりをどう思う?

現時点で、彼は不適切な人物だ。でもこの世界の誰しも、変わることができる。

――あなたは50年以上にわたり革新者として走り続けた。長く生き延びる秘訣は?

こんなの長いとも思わない。これからもあと50年は続けられたらいいと思う。

本誌2018年10月12日号[最新号]掲載

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