最新記事

中国社会

習近平の賃貸住宅政策が裏目に出る大失敗 投資家が大挙参入、北京は家賃2割アップ

2018年9月26日(水)13時24分

破産事案

わずかな規制しかない分野で急成長が起きたことで、予期せぬ金融リスクも生じている。

今年8月、浙江省杭州の賃貸会社「鼎寓」が破産した。同社の経営者は破綻の理由について、市場が急速に拡大したためと説明。これが、同セクター初の大規模倒産となった。

物件の調達を確実にするため、鼎寓は、後で貸し出す際の家賃よりも高い賃料を物件所有者に支払っていた。Luと名乗る女性はロイターに対し、鼎寓から今年借りた部屋の家賃は月4700元だったが、鼎寓はその部屋の所有者に5600元支払っていたと話した。

ロイターは鼎寓に接触できなかった。

Luさんは、消費者金融会社の愛上街と、1年間の消費者ローン契約を結んで家賃を支払うことを鼎寓に求められたという。

鼎寓が破産した後、Luさんの部屋の所有者には賃料が入らなくなり、Luさんにも残高2万3500元のローンが残された。

習近平主席が賃貸セクターへの取り組みを宣言したことを受け、政府が賃貸市場に介入するかは不透明だ。

中国4大銀行の1つに勤める関係筋は、賃貸セクターへの貸し出しを厳しくしろという指示は受けていないと話した。

政府に近い複数の人物は、ロイターに対し、リスクが高まるなかでも大きな政策変更があるとは把握していないと話した。

「市場には、バランスも透明性もない」と、国土資源省のある人物は話し、それでも「習主席が何かせよと指示しない限り、担当部局は動かない」と付け加えた。

(Yawen Chen記者、Shu Zhang記者、John Ruwitch記者、翻訳:山口香子、編集:伊藤典子)

[北京/杭州 14日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、利益確定売り優勢 

ビジネス

米エヌビディア時価総額、世界初5兆ドル突破 AIブ

ビジネス

英首相、増税せずの公約確認を避ける 来月予算案で所

ワールド

ロシア軍、ドネツク州要衝ポクロフスクに迫る=ウクラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 4
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 7
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 8
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 9
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中