最新記事

中毒しやすい食べ物? ジャンクフードとドラッグの共通点

2018年8月30日(木)17時40分
松丸さとみ

ジャンクフードはドラッグととても似ている… kbeis-iStock

<ミシガン大学などの研究で、ピザなどの加工食品は、ドラッグと同じような形で人間の体に作用するために、「中毒」のような症状が出ることがわかった>

「やめられない、とまらない」というキャッチフレーズが以前スナック菓子のCMであったが、あの類のお菓子は本当に一度封を開けてしまうとなかなか止められない...という人も多いのではないだろうか。スナック菓子に限らず、いわゆる"ジャンクフード" は、空腹でなくてもつい手を伸ばしてしまうものだ。実はそれ、ジャンクフードはドラッグととても似ているからだという。

中毒症状を引き起こす犯人は......

ミシガン大学やニューヨーク肥満研究センターの研究者らが行った実験で、ピザなどの加工食品は、ドラッグと同じような形で人間の体に作用するために、「中毒」のような症状が出ることがわかった。

実験は、大学生120人と、対象を広げてオンラインで398人にそれぞれ質問に答えてもらった。

教育情報サイト「キュリオシティ」によると実験では、「ピザときゅうり」というように、2種類の食品を組み合わせた写真を参加者に見てもらった。参加者は、2つの食べ物のうち自分にとって「問題になる」のはどちらかを答えた。「問題」というのは、例えば「食べるのが止まらなくなって食べ過ぎてしまう」とか、「食べる量を減らすのが難しい」など、言ってみれば「中毒」になってしまう食べ物ということだ。参加者は最終的に、35種類の食品で自分にとって中毒性が高いものを選んだことになった。

この結果、参加者が最も中毒してしまうと答えた食品はどれも、脂肪、炭水化物、糖類を多く含むように加工された食品だった。また、「GI値」が高い食品でもあった。キュリオシティによるとGI値とは、その食品を食べた後にどれだけ血糖値が上がるかを示す数値であり、質の低い炭水化物ほどGI値は高くなる。

研究チームは、中毒成分が凝縮された物質を体内に取り込み、急激に吸収されることで中毒性が高まるドラッグの性質をあげ、脂肪とGI値が高い加工食品にはこれと同じ性質があると説明している。これらの成分が、心と体にドラッグと同じような「中毒症状」を引き起こすのだ。

精製されたものほど中毒性が高い

ザ・サン紙は、例として米メーカーのポテトチップスをあげて、「ポテトチップスと言ってはいるが、じゃがいもはわずか42%しか含まれておらず、残りは小麦のてんぷん、ヒマワリ油、コーン油、米粉だ」という。

これに加えて、味覚と脳を刺激する砂糖、塩、脂質の3つが加えられている。この3つは、体が空腹でない時でさえ、まるでドラッグやアルコールのように、私たちの脳の快楽部分を刺激する、と同紙は述べている。

キュリオシティは、精製されたものほど中毒性が高い例として、コカの葉とコカインをあげる。同様に、鶏肉を焼いたものに中毒する人は少ないが、より脂肪分が高く炭水化物の多いフライドチキンには中毒しやすくなる、と指摘している。

(参考記事)炭水化物は悪者じゃない! 長生きのために適度な量をちゃんと取ろう

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏が英国到着、2度目の国賓訪問 経済協力深

ワールド

JERA、米シェールガス資産買収交渉中 17億ドル

ワールド

ロシアとベラルーシ、戦術核の発射予行演習=ルカシェ

ビジネス

株式6・債券2・金2が最適資産運用戦略=モルガンS
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがまさかの「お仕置き」!
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが.…
  • 8
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 9
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中