最新記事

ヘルス

信じるか信じないか、血液型ダイエット

What is the Blood Type Diet?

2018年8月18日(土)13時40分
デーナ・ダビー

だがこれまでのところ、血液型ダイエットの効果の程を示すデータはない。最近のある研究では、血液型ダイエットを実践した人に一定の健康効果や、肥満度を示すBMI(ボディー・マス・インデックス)の低下が見られたが、血液型との因果関係を示す科学的根拠はなかった。

専門家の間では批判や懐疑的な見方も少なくない。ダイエット指導を行っている栄養士のマリア・ベラに言わせれば、評価できるのは自然食品を重視し、全ての血液型の人に運動を勧めている点くらい。「それぞれの人に合わせた食事プランは重要だと思うが、それは病歴やこれまで何を食べてきたかに基づくべきであって血液型に基づくべきではない」

体にいい食品の摂取を制限しているのも問題だという。「例えばB型の人はレンズ豆やトマトやゴマを食べてはならないとされている。どれも体にいい食品だ。(肉や穀物などの)食品群全体を制限すれば、栄養が偏りかねない」と、ベラは言う。

遺伝情報に基づく方法も

ジョシュ・アクスは自然療法を取り入れた医療を行う医師で、自らも30日間のダイエットプランを考案している。そんな彼も、血液型ダイエットは必ずしも勧められないと語る。「それよりも私は『オーダーメイドのダイエット』を勧めたい。遺伝的性質やさまざまな食品に対する反応つまり過敏症の有無、そして食べ物の好みに基づいてメニューを組み立てるものだ」

自分に合わせた食事プランで減量したいという人々の欲求をビジネスチャンスと捉える企業も出てきた。カリフォルニア州の新興企業ハビットは、個人のバイオマーカー(生理学的指標)や体のサイズ、遺伝情報に基づいてダイエットプランを立てている。

ハビットのCSO(最高科学責任者)を務めるジョシュア・アンソニーはこう語る。「人は一人一人異なり、それぞれが別のニーズを持っているという点で(血液型ダイエットは)正しかった。目の付けどころは悪くない。問題は、血液型が正しい食事プランの根拠たり得るという証拠がないことだ」

ダイエットに失敗したら、それはきっと体質に合わない方法だったから。少なくともそう言い訳はしてもいいようだ。

<本誌2018年8月14&21日号掲載>

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米12月失業率4.6%、11月公式データから横ばい

ビジネス

米10月住宅価格指数、前年比1.7%上昇 伸び13

ワールド

プーチン氏、イラン大統領と電話会談 核計画巡り協議

ワールド

中国軍が台湾周辺で実弾射撃訓練、封鎖想定 過去最大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中