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急落トルコリラ「底値」見誤りさらに大損する投資家の心理

2018年8月14日(火)13時00分
中村 貴司(東海東京調査センター主任調査役シニアストラテジスト) ※東洋経済オンラインより転載

たとえば、TVに出演している有名ストラテジストがトルコリラ高になると言っている。またカリスマトレーダーがトルコリラは今後、上がるとツイートしている。筆者も実際「1トルコリラ=20円近辺まで下がってきたので高金利のスワップポイントを加味すれば、ここからのトルコリラ投資は長期ではいい投資になるだろう」とのコメントをネットでいくつか見かけました。

「権威ある投資の専門家やカリスマが言うのだから、その見通しの信頼性は高い」とのバイアスを持ってしまう「後光効果(ハロー効果)」というものがあります。実際は権威がある専門家・カリスマトレーダーだからといって、またポイントを明確に整理し、わかりやすく伝えてくれる人だからといって必ずしも相場が100%当たる人だとは限りません。

自分の投資が失敗した場合、投資家は「お墨付きのある権威ある専門家やカリスマトレーダーが外してしまったのだからしょうがない」といった一種の責任転嫁や言い訳の保険を手に入れることができる誘惑に、なかなか勝つことができません。

間違って失敗しても自分の責任を深く感じなくてもいいし、相場をはずした自分の投資スキル不足を嘆き、みじめな思いをすることがないからです。見通しを掲げた専門家に文句を言えば、少しはストレス発散もできます。「はずしたら他人のせいで、当たれば自分のおかげ」という「都合の良い立場」が強気な姿勢をもたらし、リスクあるトルコリラ投資に向かわせてしまったのかもしれません。

「支配の錯覚」も失敗を招く要因に

また、自信過剰をもたらすその他の要因として、「支配の錯覚」が挙げられます。たとえば、投資においては、なんらかのパターンや規則性を見いだすことでそこに自信を深めてしまう例が挙げられます。

トルコリラでいえば対円で2015年、2016年、2017年と3年連続10%以上下落し、2018年に入ってからも10%を大きく超える下げとなっているので「さすがに4年連続の10%以上の下落は行きすぎだろう」と判断してしまうことは、まさに自分が「支配」をしている「錯覚」にとらわれている例です。値下がり率や値下がり回数だけを見て過度に強気な見方に傾いてしまったことが、失敗の原因の1つとして挙げられそうです。

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