最新記事

ビジネス

テスラに新たな経営上の懸念 太陽光発電タイル、生産トラブルで広がる波紋

2018年8月11日(土)10時57分

8月8日、米テスラが開発した住宅の屋根用タイルと太陽光パネルが一体化した「ソーラールーフ」の生産が、軌道に乗っていない。ニューヨーク州のテスラのバッファロー工場で2日撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

米テスラが開発した住宅の屋根用タイルと太陽光パネルが一体化した「ソーラールーフ」の生産が、軌道に乗っていない。ニューヨーク州バッファローの工場における組み立てラインが抱える問題や、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が要求する「洗練されたデザイン」のハードルの高さが原因だ。テスラや同事業の提携先となっているパナソニック<6752.T>の社員および元社員8人がロイターに明らかにした。

パナソニックのある社員やテスラの元社員の話では、昨年開設されたバッファロー工場の生産が度々停滞するため、パナソニックは同工場内で製造してテスラに売るはずだったセル(単電池)やパネル(モジュール)の新たな買い手を模索せざるを得なくなっている。また工場に7億5000万ドルの補助金を提供したニューヨーク州の関係者からは、テスラが約束通りの雇用や投資を行うか疑念の声も聞かれる。

こうした生産トラブルは、テスラの太陽光発電事業自体の将来性にも一段と影を落とす。2016年にソーラーシティーを26億ドルで買収して太陽光発電に参入したテスラは、本業の電気自動車(EV)の増産に注力している半面、太陽光発電事業は縮小の一途をたどっているのだ。

ソーラールーフは、普通の屋根用タイルの外観を呈しながら発電機能を持つのが特徴だが、2つの要素を両立させるのがいかに難しいかが証明されつつある。

別の元テスラ社員は「見た目の美しさが重要なポイントでマスク氏は常に満足していない。それが大きな問題だ」と話した。価格面でも1ワット当たり6ドル近くと、全米平均のおよそ2倍に上る。

テスラはロイター向けの声明で、ソーラールーフの生産プロセスの改善を目指していると認めた。ただ現在の詳しい生産状況は明らかにせず、パナソニックからのセル購入に関してもコメントしていない。

一方パナソニックは、バッファローで製造した一部パネルをテスラに売る代わりに自社ブランドとして出荷している。セルについても、有望な買い手候補に対して見本として大規模に提供しているという。

パナソニックはほかの顧客へのセルサンプルの出荷についてコメントを控えた。その上で「ソーラールーフが本格販売される際には、当社製セルが使用されると認識している」と付け加えた。

MAGAZINE

特集:遺伝子最前線

2019-1・22号(1/16発売)

革命的技術クリスパーで「超人」の誕生も可能に── 人類の未来を変えるゲノム編集・解析の最新事情

人気ランキング

  • 1

    「お得意様」は気づいたら「商売敵」に 中国の猛追へ対策急ぐドイツ

  • 2

    人の頭を持つ男、指がなく血の付いた手、三輪車に乗る豚......すべて「白夜」の続き

  • 3

    北方領土が「第二次大戦でロシア領になった」というロシアの主張は大間違い

  • 4

    全長7mの巨大ヘビが女性を丸のみ インドネシア、…

  • 5

    仏マクロン政権「黄色いベスト運動」対応で財政拡大 E…

  • 6

    日本がタイ版新幹線から手を引き始めた理由

  • 7

    体重600キロ、体長4.4mの巨大ワニが女性殺害 イン…

  • 8

    米政府閉鎖で一カ月近く無給の連邦職員、食料配給に…

  • 9

    中台関係改善の絶好の機会を、習近平は逃した

  • 10

    タイ洞窟からの救出時、少年たちは薬で眠らされ、両…

  • 1

    体重600キロ、体長4.4mの巨大ワニが女性殺害 インドネシア、違法飼育の容疑で日本人を捜索

  • 2

    全長7mの巨大ヘビが女性を丸のみ インドネシア、被害続発する事情とは

  • 3

    タイ洞窟からの救出時、少年たちは薬で眠らされ、両手は縛られていた

  • 4

    北方領土が「第二次大戦でロシア領になった」という…

  • 5

    エイリアンはもう地球に来ているかもしれない──NASA…

  • 6

    人の頭を持つ男、指がなく血の付いた手、三輪車に乗…

  • 7

    インドネシアの老呪術師が少女を15年間監禁 性的虐…

  • 8

    宇宙から謎の「反復する電波」、2度目の観測:地球外…

  • 9

    タイ洞窟の少年たちは見捨てられる寸前だった

  • 10

    NGT48山口真帆さん暴行事件に見る非常識な「日本の謝…

  • 1

    炎上はボヘミアン・ラプソディからダンボまで 韓国の果てしないアンチ旭日旗現象

  • 2

    口に入れたおしゃぶりをテープで固定された赤ちゃん

  • 3

    あの〈抗日〉映画「軍艦島」が思わぬ失速 韓国で非難された3つの理由

  • 4

    小説『ロリータ』のモデルとなった、実在した少女の…

  • 5

    日韓関係の悪化が懸念されるが、韓国の世論は冷静──…

  • 6

    オーストラリア人の94%が反捕鯨の理由

  • 7

    ジョンベネ殺害事件で、遂に真犯人が殺害を自供か?

  • 8

    アレクサがまた奇行「里親を殺せ」

  • 9

    日本がタイ版新幹線から手を引き始めた理由

  • 10

    インドネシア当局、K-POPアイドルBLACKPINKのCM放映…

資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
「ニューズウィーク日本版」編集記者を募集
デジタル/プリントメディア広告営業部員を募集
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月