最新記事

農薬

ハチの死滅が懸念される中、トランプ政権が問題の殺虫剤の使用禁止令を撤回

2018年8月9日(木)17時54分
松岡由希子

ハチの死滅が懸念されるが… dmf87-iStock

<ハチが世界各地で死滅しつつあると懸念されているが、その関係が指摘されている殺虫剤の使用禁止令をトランプ政権が撤回し、問題になっている>

ネオニコチノイド系殺虫剤は、世界で最も広く使用されている殺虫剤のひとつで、2008年時点で使用量全体の24%を占めている

従来の有機リン系殺虫剤に比べて人体への安全性が高いため、農薬として世界各地で使用されており、昆虫に対する毒性は強く、植物への浸透移行性によって残効が長いのが特徴だ。

ハチへの害が懸念され、欧州では全面使用禁止に

しかし、近年、世界各地で急激に作物の受粉を媒介するハチが死滅しているのが大きな問題になっているが、この殺虫剤が、ハチに害をもたらしているのではないかとの懸念が指摘されてきた。

2018年5月には、欧州委員会(EC)が、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムという3種類のネオニコチノイドの屋外使用を全面禁止する規則を採択するなど、その使用を禁止する動きも少なくない。

オバマの決定をトランプが破棄

一方、米国では、オバマ政権下の2014年7月、魚類野生生物局(FWS)が「2016年1月までに、国立野生生物保護区での農作物栽培においてネオニコチノイドの使用を禁止する」との決定を発表し、ネオニコチノイドの使用禁止に向けて舵を切ったとみられていた。

しかし、2018年8月、「国立野生生物保護区において農業生産性を確保するためには、ネオニコチノイドの一律禁止は適切でなく、ケースバイケースで判断されるべきものだ」との見解のもと、この決定が破棄され、米国内外で物議を醸している。

ハチに及ぼす影響が徐々に明らかになっている

ネオニコチノイドがハチに及ぼす影響については、これまでの研究結果でも明らかになっている。

2014年5月に米ハーバード大学公衆衛生大学院(HSPH)の研究チームが「ネオニコチノイドが正常な蜂群の越冬に影響を及ぼし、ミツバチが大量に失踪する"蜂群崩壊症候群(CCD)"を誘因となっている」との研究論文を発表した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏が閣僚刷新検討 イラン戦争が打撃 選挙控

ワールド

商船三井のLPG船がホルムズ海峡を通過 日本関係2

ワールド

ドバイの米オラクル施設に迎撃破片が落下、負傷者なし

ワールド

トランプ政権による大学への人種データ開示命令を仮差
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 2
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 5
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 8
    中国は「アカデミズムの支配」を狙っている? 学術誌…
  • 9
    イラン戦争は「ハルマゲドンの前兆」か? トランプ…
  • 10
    60年前に根絶した「肉食バエ」が再びアメリカに迫る.…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 8
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中