最新記事

アメリカ政治

トランプ路線は継続なるか? 米中間選挙の結果を占う注目すべき予備選は

2018年8月9日(木)15時15分

8月5日、米連邦議会における過半数と主要州の知事の座を争う選挙戦は、最後の天王山となるこの8月、重要な分岐点を迎えている。写真はトランプ大統領の集会に集まった人たち。オハイオ州で4日撮影(2018年 ロイター/Leah Millis)

米連邦議会における過半数と主要州の知事の座を争う選挙戦は、最後の天王山となるこの8月、重要な分岐点を迎えている。11月の中間選挙に向けて、14州で有権者によって党指名候補が選ばれるからだ。

今月行われる党予備選のハイライトは、アリゾナ、ウィスコンシン、ミシガン、フロリダといった激戦州だ。ラスト5州の予備選は9月はじめに行われ、共和党のトランプ大統領就任以来、波乱に満ちた最初の19カ月間に関する国民的な審判と目される総選挙の幕が上がる。

トランプ氏は最近行われた一連の予備選の勝者について支持を表明しており、共和党の指名争いの多くは、トランプ氏の忠誠心を争う、あるいはトランプ氏からの支持を奪い合う競争となっている。8月には、トランプ氏の影響力を測る機会がさらに多く得られるだろう。

一方、民主党の側では、複数の指名競争が、党主流派候補と、バーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)の支持を受けた候補など党内の急進的反主流派との決戦の様相を呈している。

「トランプ氏による支持、あるいはその可能性だけであっても、どの程度の影響力があるのか、今月はそれがもっと分かってくるだろう」と、超党派の「クック・ポリティカル・リポート」でアナリストを務めるジェニファー・ダフィ氏は話す。「また、急進的なメッセージが民主党員にとってどれだけ強く訴えるかも見えてくる」

民主党が連邦議会の各議院で過半数を占め、トランプ氏の政策実現にブレーキをかけるには、下院で23議席、上院で2議席を奪う必要がある。11月6日の選挙で争われるのは、下院の435議席すべてと上院100議席のうち35、そして50州のうち36州の州知事職である。

以下に、8月に行われる予備選のうち重要なものをいくつか紹介し、今月答えが出そうな問題を2、3取り上げることにしよう。

11月に向けた影響が最も大きい予備選はどれか

アリゾナ州、ウィスコンシン州において上院共和党候補を決める予備選は、上院での優位を巡る争いにおいて非常に重要になる。

アリゾナ州は、ネバダ州と並んで民主党が奪回する可能性が最も高い州であり、共和党の予備選は、党主流派が支持するマーサ・マクサリー下院議員と、2人の保守タカ派であるケリー・ワード元上院議員、元マリコパ郡保安官のジョー・アーパイオ氏の三つどもえとなっている。

扇動的な保守派が2人出馬していることで、8月28日の予備選では、より穏健なマクサリー氏に対し、右派の票が割れてしまう可能性がある。引退する現職のジェフ・フレイク上院議員の後釜を争ううえで、民主党候補となる可能性の高いカイルステン・シネマ議員に対抗するには、この2人では勝ち目は薄いとみられている。

トランプ氏はどの候補についてもまだ支持を表明していない。

また8月14日に行われるウィスコンシン州の共和党予備選においても、トランプ氏は主要な共和党候補者のいずれについても支持を表明していない。

同州では現職の民主党タミー・ボールドウィン上院議員への挑戦権を争うことになり、2016年の大統領選挙ではトランプ氏は同州で辛勝している。リー・バクミア州議会議員、海兵隊出身で民主党から転じたケビン・ニコルソン氏がトランプ大統領への忠誠心を競い合っている。

民主党も11月に激戦が予想される地区で下院議員選挙に向けたいくつかの予備選が行われる。注目されるのは、7日に行われるカンザス、ワシントン両州の予備選だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、ウクライナ東部ルハンスク州全域を支配下に 

ワールド

タイ憲法裁、首相の職務停止命じる 失職巡る裁判中

ビジネス

仏ルノー、上期112億ドルの特損計上へ 日産株巡り

ワールド

マスク氏企業への補助金削減、DOGEが検討すべき=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 4
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中