最新記事

アメリカ政治

トランプ路線は継続なるか? 米中間選挙の結果を占う注目すべき予備選は

2018年8月9日(木)15時15分

トランプ氏の支持が重視されるのはどの州か

共和党は重要な戦場であるフロリダ州において8月28日に予備選を実施するが、知事候補としての指名を目指す保守派のロン・デサンティス下院議員にとって、トランプ氏の支持表明は強い追い風になっている。上院選に出馬するリック・スコット現知事の後継を目指すデサンティス氏の対抗馬は、元下院議員のアダム・パットナム州農業委員だ。

デサンティス候補の最近の選挙広告では、トランプ氏への忠誠が強調されており、幼児の娘にオモチャのブロックで「壁を築く」よう促し、彼女は「アメリカを再び偉大に」と書かれたベビー服を着ている。

急進的な主張は民主党の大勝をもたらすか

選挙で民主党急進派の実力が次に試されるのはミシガン州だろう。ここでは、デトロイト市保健局長だったアブドル・エルサイード氏が国内初のムスリム系州知事を目指して出馬している。

エルサイード氏はサンダース氏の支持を受けており、最近はアレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏とともに選挙運動を展開している。先日、ニューヨーク州の予備選で衝撃的な大番狂わせを演じてスターになった若手の民主社会主義者だ。

エルサイード氏は州レベルでのシングルペイヤー方式による医療保険制度を支持しているが、選挙戦で優位に立つ元州上院院内総務のグレッチェン・ウィトマー氏は、これを現実的ではないと評している。

フロリダ州では、やはりサンダース氏の支持を受けている民主党のタラハシー市長アンドリュー・ギラム氏が、穏健派のグウェン・グラハム元下院議員など多くの候補に互して知事を目指している。

著名候補の出馬している予備選は

知名度の高い共和党候補者2人が、地元州での知事の座を目指している。カンザス州のクリス・カバ氏、ミネソタ州のティム・ポーレンティー氏だ。

不法移民の制限や制約の強い不正投票防止法制定に向けた保守派の運動の先頭に立ったカバ氏は、共和党知事候補としての指名を目指して現職のジェフ・コルヤー知事に挑戦する。

世論調査によれば、トランプ氏が設置した不正投票調査委員会が解散するまで副委員長を務めていたカバ氏と、現職知事のコルヤー氏は、多くの候補者の先頭に立ってつばぜり合いを演じているようだ。

かつて2期にわたって州知事を務め、2012年には大統領予備選に名乗りをあげたものの早々に撤退したポーレンティー氏は、8月14日に行われるミネソタ州の予備選において、郡政委員出身の候補を相手に回して返り咲きを狙っている。

(翻訳:エァクレーレン)

John Whitesides

[ワシントン 5日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:「豪華装備」競う中国EVメーカー、西側と

ビジネス

NY外為市場=ドルが158円台乗せ、日銀の現状維持

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型グロース株高い

ビジネス

米PCE価格指数、インフレ率の緩やかな上昇示す 個
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中