最新記事

バイオハッキング

北欧スウェーデンで体内へのマイクロチップの埋め込みが広がる理由とは

2018年7月4日(水)17時00分
松岡由希子

スウェーデンでは、デジタルに対する信頼度が高い

また、スウェーデンの経済状況や事業環境、社会的背景も、少なからずスウェーデンのバイオハッキング文化に影響をもたらしているようだ。スウェーデンでは、1990年代から技術インフラへの投資に注力しており、研究開発費対GDP比は2016年時点で世界第三位の3.255%となっている

インターネット電話サービス「スカイプ」や音楽ストリーミング配信サービス「スポティファイ」などの優良スタートアップ企業が生まれた国としても知られ、デジタルテクノロジーにまつわる様々なイノベーションやプロダクト、サービスが経済を支えてきた。

ピーターセン博士は「スウェーデンでは、人々のデジタルに対する信頼度が高い」と述べ、このようなデジタルテクノロジーへの確信や信頼がスウェーデンの文化にも強く影響を及ぼしていると分析している。

バイオハッカーサミットの開催

このほか、スウェーデン出身の哲学者ニック・ボストロム博士らが1998年に創設した非営利団体「ヒューマニティ+」などの取り組みもスウェーデン国内でのトランスヒューマニズムの発展や啓発に寄与。2017年と2018年には首都ストックホルムで「バイオハッカーサミット」が開催されるなど、近年では、バイオハッカーの世界的な拠点としての役割をも担い始めている。

Biohacker Summit 2018

体内へのマイクロチップの埋め込みについては、情報セキュリティやプライバシー、健康影響など、様々な観点から懸念が指摘されており、その本格的な実用化に向けて解決すべき課題は少なくない。それゆえに、"バイオハック先進国"であるスウェーデンの動向は、注目に値するといえるだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

FRB理事にミラン氏、米上院が僅差で承認

ワールド

ロシアの凍結資産を奪う国の責任追及=メドベージェフ

ワールド

ロシア・ベラルーシ合同軍事演習、米軍将校が視察

ワールド

クックFRB理事の解任認めず、米控訴裁が判断
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中