最新記事

宇宙ベンチャー

インターステラテクノロジズ、ロケット打ち上げに失敗も「次につながる失敗」

2018年7月3日(火)19時30分
鳥嶋真也

同社創業者のひとりで取締役の堀江貴文(ほりえ・たかふみ)氏は、「ベンチャーではデスバレー、死の谷があるとよく言われる。ロケット開発のデスバレーはソフトウェアなどと比べると深い。米国では幾多の先人がこれを越えられず消えていった。モチベーションを保ちつつどう進めていくかが重要」と語る。

今回のような失敗は、光景こそショッキングなものではあったが、宇宙開発の黎明期にはよく見られたものだった。

いまをときめくイーロン・マスク氏の宇宙企業「スペースX」も、最初に開発したロケットの初打ち上げでは今回のような失敗を経験。その後も2回連続で失敗するも、それを乗り越え4回の挑戦で成功。やがていまの地位を築いた。

torisima004.jpgイーロン・マスク氏の宇宙企業「スペースX」も、最初に開発したロケットは失敗の連続だった (C) SpaceX

挑戦を続けるIST

ISTが、その死の谷を越えられるかどうかはわからない。スペースXにはマスク氏の豊富な資金力があり、さらに設立当初に米国の優秀なロケット・エンジニアを多数引き抜いたこともあって、なんとか死の谷を越えることができた。

いっぽうでISTは資金集めに苦労しており、従業員も若手が多く、経験者が不足している。さらに今後、MOMO 3号機にはじまり、その先の衛星打ち上げロケットの開発というハードルもあり、その過程でさらなる失敗も経験することになろう。

それらを乗り越えても、今度は他社との競争をこなしていかなければならない。

しかし、とにかく挑戦を続けなければ、死の谷を越えることも、さらなるハードルの前にたどり着くこともできない。今回、打ち上げに失敗したことも、次に向けたモチベーションが落ちていないということも、まさにISTが挑戦し続けているという証である。

そしてISTのみならず、すべての宇宙ベンチャーがそうした挑戦を続けられるよう、国や投資家などが資金面、技術面で支援していくことが重要になるだろう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米雇用統計、4月予想上回る17.7万人増 失業率4

ワールド

ドイツ情報機関、極右政党AfDを「過激派」に指定

ビジネス

ユーロ圏CPI、4月はサービス上昇でコア加速 6月

ワールド

ガザ支援の民間船舶に無人機攻撃、NGOはイスラエル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 8
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 9
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中