最新記事

業界再編

出光と昭和シェル19年4月に経営統合 経営側と創業家に村上世彰が仲介

2018年7月10日(火)16時00分

7月10日、出光興産と昭和シェル石油は、2019年4月1日に経営統合すると発表した。反対していた大株主である出光創業家の一部が取締役の推薦などを条件に同意。石油業界の大型再編は発表から3年を経てようやく実現に漕ぎ着く。写真は出光本社で5月撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

出光興産<5019.T>と昭和シェル石油<5002.T>は10日、2019年4月1日に経営統合すると発表した。反対していた大株主である出光創業家の一部が取締役の推薦などを条件に同意。石油業界の大型再編は発表から3年を経てようやく実現に漕ぎ着く。

都内で記者会見した出光興産の月岡隆会長は「多くのステークホルダー(関係者)に大変なご心配、ご迷惑をおかけしたことをお詫びする」と述べた。月岡会長によると長期にわたり途絶えていた創業家との話し合いが4月ごろから再開したという。

創業者・出光佐三氏の理念が守れなくなるとして、頑なに反対してきた創業家に対して出光興産側は条件を提示して歩み寄る姿勢を見せた。同社が公表した大株主との合意内容には、創業家側が取締役2人を推薦することや統合後も出光興産の商号を維持することなどが盛り込まている。

株主還元を強化

合意事項には株主還元策も入っており、12月に予定する臨時株主総会までに550億円を上限に自己株式を取得するほか、2019─21年度の期間の利益の50%以上を株主還元に充て、そのうち10%以上を自己株式取得に充てるとした。

出光は昨年7月、発行済み株式総数の3割にあたる大型の公募増資を実施、約1200億円を調達したしたばかり。月岡会長は、今回、統合のめどがたち、18年3月期に過去最高益をあげたことから株主還元の強化を決めたと説明した。

出光興産はすでに昭和シェルの株式を3割超保有するが、株式交換で残る株式全てを取得する。昭和シェルの時価総額は約6370億円。株式交換比率は10月に合意予定。両社はそれぞれ12月に臨時株主総会を開き、株主の承認を得る。

統合後も出光興産の商号は維持しながらも、一般的に使われる会社の名称を「出光昭和シェル」とするとして、対等な精神での合併であることを強調した。両社が展開している給油所のブランドも一定期間、併用する。

少子高齢化やエコカーの普及で国内のガソリン需要が落ち続けるなか、両社は統合での生き残りを目指してきた。その間、昨年4月にはJXホールディングスと東燃ゼネラル石油が統合、国内ガソリンシェア5割を超えるJXTGホールディングス<5020.T>が発足。出光・昭和シェルの統合で同シェア3割の会社が誕生。国内は2強体制になる。

昭和シェルの亀岡剛社長は「石油業界の環境からすれば統合は待ったなし。1歩進めるのは本当に喜ばしい」と語った。同社長は両社が持つ国内7製油所の統廃合は考えていないと述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独IFO業況指数、12月は予想外に低下 来年前半も

ビジネス

EU、炭素国境調整措置を強化へ 草案を正式発表

ワールド

インドネシア中銀、3会合連続金利据え置き ルピア支

ワールド

戦略的互恵関係を推進、国会発言は粘り強く説明=日中
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中