最新記事

ロシアW杯

W杯で荒れる中国、サッカーギャンブルが社会問題に

2018年6月28日(木)16時30分
松丸さとみ

ギャンブルに負けて、荒れる中国サッカーファン SupChine-Youtube

<サッカー・ワールドカップは、代表チームが出場していな中国でも、盛り上がりを見せている。特に、賭けに負けて自殺してしまったりする人が出るなど、社会問題にもなっている>

1億人弱が観戦する盛り上がり

サッカー・ワールドカップ(W杯)は、代表チームを送り込んでいない中国でも盛り上がりを見せている。試合そのもののみならず、ギャンブルの対象としても人気なのだ。賭けに負けて荒れたり自殺してしまったりする人が出るなど、社会問題にもなっている。

中国のニュースを英語で配信するSupChina.comによると、中国の夜8時というゴールデンタイムに放送されたポルトガル対モロッコ戦は、最大で1億人弱がテレビで観戦した。次いで今回のW杯でこれまでのところテレビ視聴者数が多いのは、韓国対スウェーデン戦の9500万人以上、日本対コロンビア戦の約9400万人となっている(中国の調査会社CSMメディア・リサーチ調べ)。ただし、これには携帯やパソコンでの視聴が含まれていないため、実際に試合を見た人となると、さらに多くなるはずだ。

前回大会ではギャンブルで4人が自殺

香港の英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は18日、サッカー・ギャンブルに苦しんで立ち直った人たちとその家族の実体験を記事にした。

同紙によると、2014年に香港樹仁大学と香港の圧力団体「明光社」が共同で行った調査(回答者5600人のうち7割が18歳以下)から、特に若年層がW杯の盛り上がりからの影響を受けやすいことが分かった。回答者の4人に1人が、前回ブラジルで開催された2014年の大会でギャンブルに関わったという。アプリがあり、いとも簡単に賭けができてしまうのだ。調査に参加した人のうち18%が、前回大会で賭けるために人にお金を借りた、と認めている。

24日付のSCMPは、2014年のW杯では、ギャンブルで手がつけられないほど膨らんでしまった借金を理由に、4人が自殺したと伝えている。W杯のように大きな大会と結びつけられることで、ギャンブルが「普通のこと」となってしまい、若年層にとって手を出さずにはいらないものになってしまっている、とSCMPは説明する。

200w_d.gif

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、グリーンランド特使にルイジアナ州知事を

ビジネス

外貨準備のドル比率、第3四半期は56.92%に小幅

ビジネス

EXCLUSIVE-エヌビディア、H200の対中輸

ワールド

25年の中国成長率、実際は2─3%台か 公式値の半
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中