最新記事

北朝鮮情勢

金正恩氏、再び訪中の噂が

2018年5月27日(日)12時15分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

南北首脳、板門店で再び会談 (5月26日) The Presidential Blue House /REUTERS

25日、大連にいる教え子から東北一帯の列車統制に関する連絡があった。5月27日か28日に金正恩氏が訪中するかもしれない。統制は6月12日を含んでいるので、中国を経由してシンガポールに行く可能性もある。

東北一帯の駅の戒厳体制指示に関して

25日夜、大連にいる教え子から連絡があった。大連を含んだ東北一帯の列車の主要駅に関して、非常に厳格な統制指示が出ているという噂が広がっているとのこと。北朝鮮の高官も訪中したばかりなので、金正恩委員長がまた訪中する可能性は否定できない。

そこで瀋陽や、筆者の生まれ故郷である長春にいる教え子たちにも連絡を取ってみた。すると遼寧省の丹東をはじめ、大連、撫順、鞍山、瀋陽、長春(吉林省)やハルビン(黒竜江省)などをカバーする北京行きおよび北京から戻る列車に関して、かなり具体的に運休などに関する統制指示が出ているという噂が広がっていることがわかった。

それらを総合すると、おおむね以下のような統制指示が出ているらしい。

     5月20日~23日:北京行き列車の運休。
       21日~24日:北京から戻る列車の運休。
     5月27日~28日:北京往復列車の運休。
     6月10日~13日:北京行き列車の運休。
       11日~14日:北京から戻る列車の運休。

27日あるいは28日に金正恩訪中か?

この情報が真実に近いものだとすると、24日までの列車の運休は、北朝鮮政府高官の訪中のために使われたのかもしれないが、27日と28日の運休は、金正恩委員長が3回目の中朝首脳会談を行うために北京入りするのではないかと推測される。

トランプ大統領との駆け引き合戦に敗れた金正恩委員長は、非常に慌てているにちがいない。その証拠に、5月11日から始まった米韓空軍の合同演習(マックス・サンダー)が25日に終わったことを口実に、5月26日、今年に入ってから2回目の南北首脳会談が板門店の北朝鮮側にある「統一閣」で予告なく電撃的に行われている。会談終了後に発表された。

まずはトランプ大統領との仲介役を果たしてくれた文在寅大統領に会わなければと思ったのだろう。
 
なんと言っても5月15日に南北閣僚級会談を提案しておいてから翌日の16日にキャンセルするという恫喝を用いて、韓国の文在寅大統領にプレッシャーを掛けたのだから。その文在寅大統領に対して詫びを入れなければならないだろう。謝罪の代わりにハグをしたようだが、いずれにしても礼を尽くしておかないと、何十年も待ってようやく訪れたアメリカとの首脳会談が無くなってしまう。

だからトランプ大統領が24日に米朝首脳会談を中止すると宣言した瞬間、金正恩委員長は金桂冠(キム・ケグァン)第1外務次官に「いつでも、どこでも(トランプ大統領と)会う用意がある」という「超低姿勢な」談話を発表させたのだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ミランFRB理事、大幅利下げを再要求 経済のシフト

ワールド

トランプ氏のガザ調停案、イスラム圏8カ国と相違=パ

ワールド

トランプ氏、ハマスに5日夕までの合意を要求 ガザ和

ビジネス

IMF報告書、国家産業政策はリスク伴うと指摘 米国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 4
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 5
    謎のドローン編隊がドイツの重要施設を偵察か──NATO…
  • 6
    「吐き気がする...」ニコラス・ケイジ主演、キリスト…
  • 7
    「テレビには映らない」大谷翔平――番記者だけが知る…
  • 8
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 9
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 10
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 5
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 6
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中