最新記事

ヘルス

がん抑制効果も⁉ ターメリックの効能に新説登場

2018年5月25日(金)16時30分
有元えり

ラテにウコンをひとさじ入れて「黄金のミルク」として飲む女優も peangdao-iStock

<カレーの材料、お酒の前に飲むものとして知られるウコン=ターメリック。最新の研究から、がんやアルツハイマーの抑制に効果があると報告された>

アメリカを中心にオーガニックの高級食品をチェーン展開するホールフーズマーケットと言えば、全米の美容や健康食品の最新トレンドを測るうえで指標になる存在だ。そのホールフーズのビューティー&ヘルス部門で、今とりわけ存在感を放っているものをご存じだろうか? 例えば、オアフ島カハラ店のサプリメントの商品棚で何列にもわたって陣取り、飛ぶように売れているのはターメリック関連の商品だ。

有効成分は、ポリフェノールの一種である「クルクミン」

ターメリック。別名ウコンと聞けば、お酒の前のお供として、日本でもおなじみの存在だろう。アメリカでも紀元前から存在するスーパーフードとして以前から注目を集める食品のひとつだった。

サプリメントから化粧品、さらにお菓子に至るまで、ターメリックを含む商品は実にさまざま。それらがさらなるヒットに繋がった理由は、驚くべき効能の最新研究にある。

古くから中医学やアーユルヴェーダに使われてきた歴史を持つターメリックだが、そのターメリックに含まれるクルクミンというポリフェノールの一種は、これまでの研究で、抗酸化や抗炎症をはじめ、代謝異常や自己免疫不全などさまざまな疾患に治療効果があることがわかっている

【参考記事】カレーを毎日食べると記憶力が向上、認知症の予防にもなる?

最新の研究で、ターメリックの摂取による、がんの抑制効果を謳う新説が飛び出したものだから、再びクルクミンの効能に注目が集まってきたのだ。

デイリー・メールによると、多発性骨髄腫を患っていた67歳のアメリカ人女性が、2011年に従来の標準治療を完全に止め、1日8gのターメリックを摂取する食事療法に切り替えたところ、平均余命である5年を過ぎた現在に至るまで小康を保っていることが、世界最大級の症例報告専用データベース「BMJケース・リポート」で報告されたという。

記事内でアッバース・ザイディ医師が証言するには、今世紀でターメリックに関する研究は50例程度。これらは、複数のタイプのがん、アルツハイマー、心臓病、うつ病を予防する効果があることを示唆するという。また、術後の回復を速めたり、関節炎を治療したりする効果があるとされている。しかし、西洋医学において、クルクミンは大々的に研究が進んでいない領域で、処方されることは多くない。

また一方で、クルクミンの薬効を疑う指摘も。米医学誌「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー」では、ミネソタ大学の研究チームが、クルクミンが効果を発する条件が定まらないとして不安定性を指摘。薬剤開発に向いていないと発表した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

リクルートHD、求人情報子会社2社の従業員1300

ワールド

トランプ氏の出生権主義見直し、地裁が再び差し止め 

ワールド

米国務長官、ASEAN地域の重要性強調 関税攻勢の

ワールド

英仏、核抑止力で「歴史的」連携 首脳が合意
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 9
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 10
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中