最新記事

米朝会談

トランプ:北の非核化に「リビア方式」は求めない──ボルトンと矛盾

2018年5月18日(金)14時02分
クリスティナ・マザ

トランプは非核化後も金正恩体制は安泰と明言 Kevin Lamarque and Korea Summit Press/REUTERS

<タカ派のボルトン大統領補佐官が求める「リビア方式」の非核化に北朝鮮が猛反発、米朝会談もやめると言い出した。トランプは懐柔にかかったが、非核化は大丈夫か>

ドナルド・トランプ米大統領は5月17日、北朝鮮の核開発問題に関してジョン・ボルトン大統領補佐官が北朝鮮に求めてきた「リビア方式」の非核化を公式に否定した。「リビア方式」とは、核開発に関わるすべてを放棄・廃棄した後に制裁を解除する方式だ。

リビアは2000年代初頭に核兵器の開発を進めていたが、その後2003年に開発計画の完全放棄に合意した。4月に大統領補佐官に就任したボルトンは、外交タカ派として知られ、最近のテレビ番組のインタビューで「リビア方式」が北朝鮮を非核化する上でも有効だと語っていた。

しかしこのボルトンの発言が、6月にシンガポールで開催予定の米朝首脳会談でトランプと非核化の具体的な方法について話し合うはずだった金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を動揺させたようだ。

「金正恩体制は安泰」

リビアの核開発を放棄した当時の最高指導者ムアマル・カダフィ大佐は、約8年後に親米の武装勢力によって拘束、殺害された。

カダフィの二の舞を恐れる金正恩は態度を硬化させ、トランプとの会談中止もほのめかした。中国の王毅(ワン・イ―)外相はトランプに対して自重を促し、米朝首脳会談の実現に向けて努力するよう求めた。

17日の発言を見るとトランプは、歴史的な米朝首脳会談に向けて、金正恩体制は安泰、と北朝鮮を安心させた方が良い、というアドバイスを受け入れたようだ。

「北朝鮮に『リビア方式』を適用することは全く考えていない。リビアでは国家が破壊された。カダフィ大佐の権力を維持するという保証もなかった。『リビア方式』は(北朝鮮とは)全く異なった取引だ。北朝鮮の場合は、体制は変わらないし、北朝鮮はとても豊かになるだろう」と、トランプは語った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、外務報道官ら日本人30人を入国禁止 報道関

ワールド

米ユタ州裁判所、共和主導の選挙区割りを「党派的」と

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、米雇用悪化を警戒

ビジネス

米国株式市場=ダウ最高値更新、559ドル高 政府再
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 7
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 8
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 9
    【銘柄】エヌビディアとの提携発表で株価が急騰...か…
  • 10
    【クイズ】韓国でGoogleマップが機能しない「意外な…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中