最新記事

東南アジア

マレーシア総選挙、野党連合が勝利 独立以来初の政権交代実現、マハティール氏が首相に返り咲き

2018年5月10日(木)10時15分
大塚智彦(PanAsiaNews)

5月10日、前日に投票が行われたマレーシア議会下院(定数222)選挙は、マハティール元首相が率いる野党連合が過半数議席を獲得して勝利した。ペタリンジャヤで9日撮影(2018年 ロイター/Lai Seng Sin)

<巨額資金流用疑惑で批判が集まっていたナジブ政権への批判は、歴史的な独立以来初の政権交代へつながった>

マレーシアの連邦下院選挙は5月9日に投票され、即日開票の結果、10日未明にマハティール元首相が率いる野党連合の「希望連盟」が定数222議席の過半数112を上回る議席獲得を確実にし、1957年の独立以来初の政権交代が実現することになった。

マレーシア選挙管理委員会が10日午前4時40分(日本時間同日午前5時40分)に明らかにした集計結果によると、野党連合・希望連盟が113議席を獲得(同盟関係のボルネオ島サバ州の政党と合わせると115議席)、与党連合・国民戦線は79議席に留まっている。

「希望連盟」が勝利した結果、野党の指導者であるマハティール元首相が首相に返り咲くことになった。10日未明に会見したマハティール元首相は副首相として希望連盟の中核である「人民正義党」の指導者でアンワル元副首相の妻、ワン・アジザさんを指名する方針を明らかにした。

さらにマハティール元首相は首相としての任期5年間のうちに、以前のマハティール政権で副首相兼財務相を務め、現在同性愛罪で服役中のアンワル氏に首相を譲る方針を示していたことから、今後のアンワル氏の扱いにも注目が集まっている。

マハティール元首相が勝利宣言

10日午前3時前から記者会見したマハティール元首相は「(まだ非公式集計ながら)我々は過半数の112を獲得するのは確実で、与党連合は遥かに我々に及ばず、政権を構成することはほとんどあり得ない状況だ。我々は勝利しても報復など考えない。ただ法の秩序を求めるだけだ」などと述べて「勝利宣言」を行った。

ナジブ政権は下院解散直前に「フェイク(偽)ニュース対策法」を駆け込み成立させ、マハティール元首相の一部発言が同法違反に当たると主張していた。これに対してマハティール元首相は勝利会見の中で「これ(野党勝利)はフェイクニュースではない」と皮肉ったほか、矢継ぎ早に今後の方針を尋ねる記者たちに「少し待ってくれ、私は92歳なのだから」と応じるなどして会見場を笑いに包んだ。

一方、敗色が濃厚になった与党連合(BN)のナジブ首相は同日夜に予定していた記者会見を延期。幹部がクアラルンプール市内のナジブ首相宅に急きょ集まって緊急会議を開催、善後策を協議しているものとみられる。BN青年部長のカイリー・ジャムルディン氏は地元マスコミに対し「確かに我々は国民の意思を受け入れなければならない。ナジブ首相は10日に会見する予定だ」と述べた。

ナジブ首相は10日午前11時(日本時間同正午)から会見するとしているが、予想外の与党連合の敗北に大きなショックを受けている模様で会見内容が注目されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:イラン攻撃に踏み切ったトランプ氏、外交政

ワールド

イラン情勢、木原官房長官「石油需給に直ちに影響との

ワールド

茂木外相、「核兵器開発は決して許されない」 米攻撃

ワールド

米・イスラエルがイランに大規模攻撃、体制転換視野に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 2
    「努力が未来を重くするなら、壊せばいい」──YOSHIKIが語った創作と人生の覚悟
  • 3
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作曲家が「惨めでもいいじゃないか」と語る理由
  • 4
    【クイズ】世界で最も「一人旅が危険な国」ランキン…
  • 5
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 6
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「…
  • 7
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 8
    トランプがイランを攻撃する日
  • 9
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 10
    インフレ直撃で貯蓄が消える...アメリカ人の54%が「…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 6
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 9
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 10
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中