最新記事

ビジネスマン

トランプ、武器輸出増狙いセールス活動 「バイ・アメリカン」の内幕

2018年4月21日(土)12時26分


最高のセールスマン

多くの米大統領が自国の防衛産業を売り込んできたが、トランプ氏ほど臆面もなくそれを行った人は誰も知られていない。元不動産王である同氏は、米国製品を売り込んでいるときが一番生き生きしているように見えることがある。

ホワイトハウスの声明によると、トランプ大統領は定期的に各国首脳と会談や電話によって特定の武器売却について協議しているという。昨年11月の日本訪問では、米国製兵器をもっと購入するよう公式の場で安倍晋三首相に直接要請した。

より最近では、先月大統領執務室で行われたサウジアラビアのムハンマド皇太子との会談で、トランプ大統領は、サウジアラビアに売却された米国製ジェット機や艦船、ヘリコプターなど兵器の写真パネルを掲げ、「われわれは世界最高の軍用品を製造している」と記者団に自慢して見せた。その傍らでムハンマド皇太子は笑みを浮かべて座っていた。

ニクソン、クリントン、ジョージ・W・ブッシュら歴代大統領も自国防衛産業の基盤を強化する必要性を強調していたが、もっと遠回しなやり方だったと、超党派のシンクタンク、国際政策センターで軍備・安全保障プロジェクトのディレクターを務めるウィリアム・ハータング氏は指摘する。

「トランプ氏ほどあからさまな大統領はいない。彼ほど声高に訴えた大統領はいなかった」

オバマ前大統領は、安全保障の必要性にかなうと考える兵器システムについて、同盟諸国の首脳と話すことはあったが、兵器を売る仕事からは距離を置くことを好んだと側近は語る。

オバマ政権は2014年、米武器メーカーがかつてないほど海外で売却することを可能とする規制緩和を実施したが、トランプ政権の通常兵器移転政策(CAT)を全面的に見直すという計画は、オバマ政権の規制緩和をはるかに超えている。オバマ氏は一部の武器売却において批判を受けたことはあるものの、規制には明確な一線を設け、人権に関する厳格な基準を満たすことを義務付けていた。

トランプ大統領はすでに、オバマ氏が阻止したいくつかの契約にゴーサインを出している。その中には、70億ドル規模のサウジアラビアへの精密兵器売却が含まれている。これら武器売却を巡っては、イエメン内戦において、サウジが主導する軍事作戦により市民の犠牲者が出た一因であるとして人権団体が懸念を示している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ハマス、人質のイスラエル軍兵士の遺体を返還へ ガザ

ワールド

中国外相、EUは「ライバルでなくパートナー」 自由

ワールド

プーチン氏、G20サミット代表団長にオレシキン副補

ワールド

中ロ、一方的制裁への共同対応表明 習主席がロ首相と
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 10
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中