最新記事

技能実習生 残酷物語

細野豪志「技能実習生制度を正当化はしていない」

2018年4月19日(木)17時32分
長岡義博(本誌編集長)、安田峰俊(ルポライター)

細野の書いた技能実習生に関するブログは一部で反発も呼んだ HISAKO KAWASAKI-NEWSWEEK JAPAN

<日本の技能実習生制度が現代の「奴隷制」を生んでいる。制度を擁護するかのようなブログを書いた細野衆議院議員に、執筆意図と外国人労働者問題を聞いた。本誌4月24日号「技能実習生 残酷物語」より>

地域によってはコンビニや建設現場で働いている姿を見るのが当たり前になった外国人労働者だが、その多くは技能実習生か留学生だ。特に技能実習生は農業からサービス業までさまざまな職種で働いているが、立場の弱さを利用した経営者側による人権侵害が報じられ続けている。

静岡選出の希望の党衆議院議員である細野豪志は、技能実習生を雇用する地元・富士市の企業を訪れ、「技能実習生の受け入れ現場を歩く」と題したブログを今年3月に執筆。制度を擁護するとも受け止められる記述が一部で批判を呼んだ。ブログ執筆の意図、そして外国人労働者問題をどう考えるかについて、本誌編集長の長岡義博とルポライターの安田峰俊が聞いた。

◇ ◇ ◇

――技能実習生制度についてどう考えるか。

実態は労働力。必ずしもいい制度とは思っていない。

――ブログで技能実習生が「日本に来るためには、彼ら自身が60万円を超える負担をしなければならない」と書いている。外国人にとって少なくない金額を負担することを容認している、と受け止められるのでは。

これはあくまで現場を見た報告を書いただけで、こういったものをいくつかまとめて文章で提案したいと思っている。

――問題意識はある、と。

もちろん。

――訪問した企業は支持者では?

支持者というか......社長をよく知っている、ということ。

――記事が企業への配慮なのでは、と見えなくもない。

私は制度を変えたい、と思っている。問題があるとも思っている。個別のファクトとしてこれが一般的か、という議論はあるかもしれない。トータルで私がこれを正当化していて、事実を見ていないかのような前提に立たないでほしい。ほかにもいくつかの現場を見ている。違う国の話も聞いている。メディアの報道も読み、派遣会社の話も聞いている。ここだけを見て事実を判断する、ということではない。

――技能実習生制度をどう変えたい?

労働者としてきちんと受け入れたほうがいい。技能実習生として受け入れることで、期間や社会保障費などいろいろな矛盾が出てきている。ただし、受け入れるときにヒューマニズムに基づいて誰でも、とはいかない。

――制度を撤廃して単純労働の移民受け入れに進むべきだ、と。

政府もおそらく大胆な提案をしてくる。というのは財界が持たなくなっているから。日本社会の底が抜けつつあり、産業が成立しないところも出てきている。留学生も問題がある。むしろ、そちらのほうが深刻かもしれない。間口が広く、アンダーグラウンドで働くケースも多い。

――実際に取材したベトナム人留学生のケースだと、あくまでカネが目的で日本語は挨拶もできない、それなのに永住を希望するというケースがある。あるべき移民像は?

かつてシンガポールでは外国人の移民が住む場所についても、できるだけ集中しないように規制していた。日本にそのまま導入できないが、かなりの配慮をしないと社会の分断が生じる可能性はある。教育も重要だ。あとは、入り口のところで日本社会に適応できる人を選別する必要はある。入り口のハードルを高くした上で、日本社会に適応する人には永住や、家族を連れてくることを選択できるようにすべきだ。

magSR180419-2.jpg

日系ブラジル人から外国人労働問題に興味を持った、と語る細野 HISAKO KAWASAKI-NEWSWEEK JAPAN

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:ウクライナ和平に向けた対ロ交渉、米政権混乱の

ワールド

アングル:高関税に知恵絞るインド中小企業、欧州・ア

ワールド

ドイツ失業者、10年ぶりに300万人突破 景気低迷

ワールド

英、防衛装備見本市からイスラエル政府排除 ガザ軍事
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ」とは何か? 対策のカギは「航空機のトイレ」に
  • 3
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 4
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 7
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 8
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    自らの力で「筋肉の扉」を開くために――「なかやまき…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 6
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 7
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 8
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中