最新記事

シリア攻撃

トランプ、対シリアで多国間軍事対応を検討「48時間内に決定」

2018年4月10日(火)11時28分

4月9日、トランプ米大統領(写真)は、シリアの反体制派地域である東グータ地区で今月7日に化学兵器が使用された疑いがあることについて非難し、対応策について早くて9日中に決定を行う可能性があることを明らかにした。ワシントンで撮影(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)

シリアの反体制派勢力が支配する東グータ地区ドゥーマで今月7日に化学兵器が使用された疑いがあることを受け、米政府は多国間による軍事行動を検討している。米政府当局者が9日、匿名を条件にロイターに語った。

トランプ大統領は9日、化学兵器使用疑惑ついて、「野蛮な行為」だとして強く非難、迅速な行動を約束した。トランプ大統領は、軍事行動も含めあらゆる選択肢を検討していることを明らかにし、対応策を48時間以内、早ければ9日中にも決定する可能性があると述べた。

シリアの人道支援団体によると、化学兵器が使用されたとみられる7日の攻撃では、少なくとも60人が死亡、1000人超が負傷した。

ホワイトハウスは、今回の攻撃について、シリアのアサド大統領が過去に化学兵器を使用した際の被害状況と一致している、と指摘してはいるものの、アサド政権軍が化学兵器を使用したとは断定していない。

トランプ大統領は、化学兵器を使用したのはアサド政権側なのか、ロシア側なのか、それとも双方だったのかについて、軍事トップと協議していると述べた。その上で、ロシアのプーチン大統領に何らかの責任がある可能性について聞かれると「そうかもしれない」などと述べた。

シリア政府とロシア側は、攻撃への関与を全面的に否定している。

報復攻撃の対象は

米政府当局者はロイターに対し、計画を明らかにはしなかったが、軍事行動が検討されていることは認めた。

ホワイトハウス、国防総省、国務省はいずれも、具体的な選択肢、あるいは軍事行動を取る可能性が高いかどうかについてのコメントを控えた。

シリア内戦の専門家は、米国が軍事行動を取る場合、フランスとおそらく英国、および中東の同盟国が参加する可能性を指摘する。

米情報当局者は、実際に化学兵器が使用されたと考えられるとしつつも、政府はまだ情報を収集中だと述べた。トランプ大統領は攻撃の責任が誰にあるかを明確にしている段階だとしたが、詳細には触れなかった。

専門家は、化学兵器使用への報復攻撃の対象となり得る施設として、ドゥマイール空軍基地など化学兵器使用との関連が報じられている軍事基地を挙げた。

[ワシントン 9日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 Newsweek Exclusive 昭和100年
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月12日/19日号(8月5日発売)は「Newsweek Exclusive 昭和100年」特集。現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、月内の対インド通商交渉をキャンセル=関係筋

ワールド

イスラエル軍、ガザ南部への住民移動を準備中 避難設

ビジネス

ジャクソンホールでのFRB議長講演が焦点=今週の米

ワールド

北部戦線の一部でロシア軍押し戻す=ウクライナ軍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に入る国はどこ?
  • 4
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 7
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「デカすぎる」「手のひらの半分以上...」新居で妊婦…
  • 10
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 6
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 7
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 10
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中