最新記事

動物

「いい子でちゅね」 成犬だって赤ちゃん言葉で話しかけられたい

2018年3月15日(木)16時30分
松丸さとみ

成犬だって赤ちゃん言葉で話しかけられたい Giambra-iStock

<「赤ちゃん言葉」が犬との絆を築くために効果的であることが科学的に証明された>

「赤ちゃん言葉」での犬との会話、効果は?

犬に話しかける時は、それが子犬であれ老犬であれ、なぜか人間の幼児に話しかけるような「赤ちゃん言葉」になってしまうものだ。つまり、いつもよりも声を高めにして抑揚をつけた話し方だ。そして実はそれが犬との絆を築くために効果的であることが科学的に証明された。

英国ヨーク大学心理学部のケイティ・スローカム博士は、「人間が犬に話しかける際は、高い声で抑揚をつけるのが欧米では一般的だが、これが犬にとってプラスになっているのか否かについては、あまりよく知られてない」と語り、「動物と人間の社会的な絆は、コミュニケーションの内容や方法によって変わるものなのか知りたかった」と、実験の動機についてヨーク大学の発表文で述べている。

スローカム博士を中心としたヨーク大学の研究員らが成犬30匹以上を使って実験を行い、学術誌「アニマル・コグニション」に結果を発表した。

犬向けの話を甲高い声vs人間向けの話をいつも通り、さて結果は?

犬と2人の実験者(実験者Aと実験者B)が同じ部屋に入って実験を行った。犬に話しかける言葉の内容はそれぞれの実験者があらかじめ録音し、スピーカーを各自の膝の上に乗せて再生した。

実験者は口元を隠して顔の表情も変えず、ボディランゲージなどで犬に合図を送らないようにした。こうすることで、別の研究機関が昨年行なった類似の実験(実験室にスピーカーだけを置いて声を流した)と比べ、より自然な環境で実験ができたと同時に、犬の反応や、実験者とどれだけ一緒に過ごしたがったか、などがテストしやすくなったという。

この昨年行われた類似の実験では、子犬は赤ちゃん言葉で話しかけた場合によく反応するが、成犬には効果がない、という結果が示されていた。

今回、実験者Aのスピーカーからは「いい子だね」や「お散歩行こうか?」など、犬を対象にした話の内容を感情豊かに話す声(人間の赤ちゃんに話す時によく見られるもの)が流された。実験者Bのスピーカーからは、成人に向けて通常の声の調子で話す内容が流された。例えば、「昨日映画を観に行ったんだ」などだ。

この間、犬は短いリードに繋がれており、声に対して犬がどのように反応するかを観察した。スピーカーから声を流し終わった後、リードを外して犬が実験者のそばに行きたければ行かれるような状況を作った。

スピーカーから声が流れている間に犬が実験者AやBの方向を見ていた長さや、リードが外された後に各実験者とどのくらいの時間を過ごしたかを測定した。なお、犬が実験室に入ってから実験が始まるまでの時間は、コントロール期間として記録し、犬がどちらかの実験者に対して興味を抱いているか否か、特定の場所に関心を示しているか否かなどを調べた。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が

ビジネス

NY外為市場=ドル対ユーロで軟調、円は参院選が重し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中