最新記事

日韓関係

韓国・文大統領「慰安婦問題、加害者の日本が終わったと言ってはならない」

2018年3月1日(木)12時52分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

3月1日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領(写真)は、抗日運動記念日「3.1節」の記念式典で演説し、日本は従軍慰安婦問題が解決したと宣言できる立場にないとの見解を示した。写真はソウルで撮影(2018年 ロイター/Kim Hong-Ji)

<韓国の文在寅大統領は、日本の植民地時代に起きた抗日運動の記念式典で、日韓関係の懸念となっている慰安婦問題や竹島について日本政府を批判した>

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は1日、日本の植民地時代の1919年3月1日に起きた独立運動を記念する「3.1節」の記念式典に出席し、式辞の中で竹島(韓国名:独島)と旧日本軍慰安婦問題について日本政府を批判し、真の反省を求めた。

韓国メディアYTNなどによれば、ソウル市内の西大門刑務所歴史館(旧刑務所跡)で開かれた第99回3.1節記念式典に出席した文大統領は「3.1運動は今この瞬間も我々の生活の中に生々しく残っている。大韓民国を国民が主人である民主共和国として作ったのが、まさに3.1運動である」と語り、安重根などの名前を挙げて「彼らが大韓民国の建国の父だ」と抗日運動の活動家を褒め称えた。

また日本については、「独島は日本の朝鮮半島侵略の過程で一番先に支配された土地だ。韓国固有の領土だ。今、日本がその事実を否定するのは、帝国主義侵略に対する反省を拒否することと変わらない」と日本政府を批判。

さらに、慰安婦問題について「私たちは誤った歴史を私たち自身の力で修正しなければならない。慰安婦問題の解決について、加害者である日本政府が『終わった』と言ってはならない」「戦争当時にあった反人倫的な人権犯罪行為は終わった、という言葉で覆い隠してはいけない。不幸な歴史であればあるほど、その歴史を記憶して、その歴史から学ぶことだけが真の解決になる」と強調した。

ただ、日本との慰安婦問題合意について再交渉するかどうかについては言及を避け、「日本が苦痛を加えた隣国と真に和解し、平和共存と繁栄の道を一緒に歩くことを望む」「日本に特別な待遇を要求しない。ただ最も近い隣の国らしく、真の反省と和解のうえで、共に未来に進むことを願うだけだ」と話した。

反日をテコに北朝鮮と友好ムードを推進?

また、文大統領は、平昌五輪で対話ムードが盛り上がる北朝鮮との関係についても触れ、「私たちはこれから光復(日本からの独立)100年へと向かう間、朝鮮半島の平和共同体、経済共同体を完成しなければならない」と、北朝鮮との融和路線を進めることを強調。さらに「南北分断がこれ以上私たちの平和と繁栄に障害にならないようにしなければならない。私は今日、国民にこの目標を共に遂げて行くことを提案する」と語った。

核開発や人権問題については触れずに「分断を克服する南北共同体」を強調したことについて韓国メディアは、今年に入ってからの北朝鮮との対話ムードに配慮したものだと分析している。


「3.1節」の記念式典で演説する文在寅(ムン・ジェイン)大統領 YTN news / YouTube

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

BRICS首脳会議、ガザ・イランへの攻撃非難 世界

ビジネス

日産、台湾・鴻海と追浜工場の共同利用を協議 EV生

ワールド

マスク氏新党結成「ばかげている」、トランプ氏が一蹴

ワールド

米、複数の通商合意に近づく 近日発表へ=ベセント財
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中