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ドイツ大連立が合意 メルケル首相の譲歩がもたらすEU政策大転換

2018年2月9日(金)09時00分

 2月7日、ドイツのメルケル首相は4期目に就任する道筋を確実にするため、財務相ポストを社会民主党(SPD)に譲った。写真は連立合意を受けベルリンで記者会見するメルケル氏(中央)、SPDのシュルツ党首(右)、CSUのゼーホーファー党首(2018年 ロイター/Hannibal Hanschke)

ドイツのメルケル首相は4期目に就任する道筋を確実にするため、財務相ポストを社会民主党(SPD)に譲った。これでメルケル氏は、過去最高水準にある財政黒字の活用権をSPDに委ねるとともに、SPDが提唱する欧州改革を受け入れることになる。

他の多くのユーロ圏諸国にとっては、ショイブレ前財務相が主導した緊縮的な財政運営のくびきから解放されるという点で、SPDの財務相ポスト獲得は大きな意味を持つ。

SPDのシュルツ党首は、メルケル率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との大連立合意は「強制的な緊縮財政の終わりだ」と述べた。

大連立政権は引き続きEUの厳格な財政ルールを守ると表明したが、ユーロ圏の金融安定網「欧州安定メカニズム(ESM)」の機能を強化して「欧州通貨基金(EMF)」創設につなげることも求めている。シュルツ氏は、来るべきEMFはEUの財政資金調達手段として重要な存在になると指摘した。

ロイターが7日入手した大連立合意の草案によると、ドイツの好景気で歳入や財政黒字の増加が期待できるため、新政権は今後4年間で460億ユーロ(約580億ドル)を、投資拡大や減税に活用できると見込んでいる。

ショイブレ氏が引き続き財務相であれば、こうした方針が打ち出されたとは考えにくい。コメルツ銀行のチーフエコノミスト、ヨルグ・クレーマー氏は「SPDが影響力の大きい財務省を握った効果を過小評価すべきではない。欧州統合や周辺国へのリスク転換に関して、ショイブレ氏の政策からは様変わりした」と説明した。

財務相には、ハンブルク市長のオーラフ・ショルツ氏が就任するとみられる。ショルツ氏は欧州統合を熱心に推進し、メルケル首相の政策には批判的だ。

一方でシュルツ党首は外相に就任する。シュルツ氏はフランスのマクロン大統領と電話し合う仲だと自慢しており、欧州をより良い公平な場所にするためフランスとの協働を望んでいる。

大連立合意は欧州全体にとっては歓迎する声が多いが、実際に財政政策やユーロ圏政策を担うドイツ連邦議会(下院)では懐疑的なムードが強まるかもしれない。

シンクタンク、ブリューゲルのディレクター、ガントラム・ウルフ氏は、大連立合意が「ゲームチェンジャー(形勢を一変させる要素)」にはならないと冷やかな見方で、「下院の意見はどちらかといえば欧州(統合)に疑いの目を深めていて、(大連立政党の)勢力は以前よりもずっと小さい」と語った。

ドイツでは、昨年の下院選挙で第3党に躍進した極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、ESMの活用やユーロ圏による救済策に反対している。

さらに大連立交渉が長引いたことで、メルケル氏の保守与党とSPDの双方から有権者が離れしてしまった面もある。5日の世論調査では、保守与党とSPDの支持率はそれぞれ30.5%と17%に低下。もし今選挙をすれば、大連立でも過半数議席を確保できない状況にある。

(Paul Carrel記者)



[ベルリン 7日 ロイター]


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