最新記事

中国社会

あなたの代わりに酔っぱらいます

2018年1月23日(火)19時30分
クリスティーナ・チャオ

中国の宴席では、出されたものは何でも食べて飲むことが期待される Kevin Frayer/GETTY IMAGES

<宴席ではたくさん食べて飲むことが期待される中国で飲酒代行者を探す新アプリ「e代喝」>

お酒を飲んだ後で、自分の車の運転を代行してもらうサービスを利用したことのある人もいるだろう。ではそれを一歩進めて、飲酒そのものを代わってもらうのはどうだろう?

中国で最近、「飲酒代行人」を雇うスマートフォンアプリ「e代喝」が誕生した。昨年12月末のサービス開始から24時間で10万人以上が代行人に登録したと、香港のサウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)紙が報じている、運営元は、中国最大の運転代行アプリで知られる「e代駕」だ。

アプリ利用者は代行人に付いてきてもらい、自分の代わりにお酒を飲んでもらう。飲めるお酒の量と、配車アプリのウーバーのように近くにいるかどうかで代行人を選べる。現在サービスを利用できるのは首都の北京、上海、広州を含む全36都市だ。

代行人として稼ぎたい人はプロフィールを作成し、名前と性別、所在地、写真、飲める酒量、簡単な自己紹介を書き込まなくてはならない。SCMPが紹介したある代行人はプロフィールに「飲酒という戦場のオリンピック選手」と説明。この男性は一度に中国の白酒を9杯、ビール3本、ワイン10本以上はいけるという。

「お酒を飲む人のほとんどは、人付き合いが好きなもの。彼らが友達をつくれるように、飲酒代行サービスを始めたらどうかと考えた」と、e代駕の広報担当者はACMPで語っている。

中国では、たくさんお酒を飲めるかどうかは極めて大切なこと。重要なビジネスの会合でも、懇親会でも、参加者は出されたものは何でも食べて飲むことが期待される。文化的に見ると、ある席で消費される食べ物やお酒の量は、参加者たちが主催者をどのくらい尊敬しているかを直接表している。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ウォン安と不動産価格上昇、過剰流動性だけが背景では

ビジネス

12月の豪消費者信頼感指数、悲観論が再び優勢 物価

ビジネス

ベトナムEVビンファスト、対インドネシア投資拡大へ

ワールド

EUメルコスルFTAに暗雲、仏伊が最終採決延期で結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 8
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中