最新記事

動物

犬の「うんちを食べる行為」の謎がついに解けた!?

2018年1月23日(火)18時15分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

写真はイメージです。 ffennema-iStock.

<病気になったオオカミのうんちを、健康な仲間が食べる。うんちに潜む寄生虫が引き起こす感染症のリスクを回避する行動の名残か>

愛犬との楽しい散歩中、何か食べていると思ったら、うんち――。

犬を飼う人なら、悩んだこともあるであろうこの問題は、諸説あるものの原因が特定されていない。そのため効果的な対処の術はなく我々の頭を悩ませてきたが、先ごろ、獣医学の専門誌「Veterinary Medicine and Science」に斬新な論文が掲載された。ワシントン・ポストなどが報じた。

カリフォルニア大学デービス校の研究者による新たな研究では、約3000頭の犬の飼い主を対象に調査。すると、16%の犬が糞便を頻繁に摂取していることが明らかになった。食べるのは、排泄から1~2日以内のものを好む傾向がある。

しかしなぜだろう。研究を率いた同校の応用動物行動センターに勤める獣医師ベンジャミン・ハートは以前、この由々しき問題をグーグルで検索してみたが、満足のいく答えは見つからなかった。「糞食について尋ねても人によって意見が違う。獣医師であろうと行動学の専門家であろうと、推測にすぎないからだ」とハートは語る。クライアントに助けを求められたとき「分らない」と答えたい専門家はいない。

うんちを食べるのはオオカミ時代の先祖返り

ハート率いる研究チームは、多くの飼い主を悩ませてきた糞食問題の解決への糸口を探した。その結果、犬の年齢、食事の違い、犬が自分の尻尾を追いかけ回すといった脅迫行動の有無と糞食に関連性があるという証拠は発見できなかった。糞食を頻繁にする犬の躾がまずかったという説も排除された。

ここで目を付けたのは、糞食する犬の80%が排泄から2日以内の糞を好むというデータ。ハートは、この鮮度こそ、謎を解明するカギだと言う。糞食は1万5000年前の犬の祖先オオカミの、一種の先祖返りだと考える。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏インフレは当面2%程度、金利は景気次第=ポ

ビジネス

ECB、動向次第で利下げや利上げに踏み切る=オース

ビジネス

ユーロ圏の成長・インフレリスク、依然大きいが均衡=

ビジネス

アングル:日銀、追加利上げへ慎重に時機探る 為替次
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 5
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    【独占画像】撃墜リスクを引き受ける次世代ドローン…
  • 8
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 9
    中国の次世代ステルス無人機「CH-7」が初飛行。偵察…
  • 10
    中国、ネット上の「敗北主義」を排除へ ――全国キャン…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中