最新記事

セクハラ

暴力事件の影で見過ごされる旅客機内のセクハラ 航空会社は対応を

2017年12月20日(水)17時10分

12月14日、インド映画界「ボリウッド」の17歳の女優が今週、飛行機に乗っていてわいせつ行為の被害にあったとソーシャルメディアで訴えた際、航空業界は不意を突かれたように見えた。写真はシドニー国際空港で10月撮影(2017年 ロイター/Steven Saphore)

インド映画界「ボリウッド」の17歳の女優が今週、飛行機に乗っていてわいせつ行為の被害にあったとソーシャルメディアで訴えた際、航空業界は不意を突かれたように見えた。

彼女の訴えはネット上で大きな怒りを呼び、警察が異例の捜査に乗り出した。ビスタラ航空の国内線でわいせつ行為をしたと訴えられた男は、訴えを否定している。

この事件の直前には、フェイスブックのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)の姉で、シリコンバレーの企業幹部であるランディさんが、アラスカ航空の機内でセクシャルハラスメントの被害にあったとソーシャルメディア上で訴えたばかりだ。

航空会社側は、被害が表ざたになり、批判を受けてから対応するこれまでの姿勢を改める必要がある。

「これは世界的な問題で、各国がそれぞれ対応を取らなければならない。ソーシャルメディアでの訴えを受けて受動的に対応するより、乗客の懸念に応える体制を取っておけば、よりリアルタイムで問題に対処できる」と、ロンドンを拠点とする民間コンサル会社戦略航空リサーチのアナリスト、サージ・アハマド氏は指摘する。

航空機内での乗客や乗務員に対する性的な不適切行為について、ロイターが各航空会社や乗務員組合、航空訓練業者に取材したところ、その大半は、被害のほとんどが届けられていないと語った。

国際航空運送協会(IATA)によると、昨年各航空会社から報告があった「性的に不適切な行為」は、計211件だった。これは、約38億人に上る乗客総数と、フライト4000万便を分母にした数字だ。

IATAの声明によると、このうち当局に通報されたのは半数以下だという。事件化される件数が少ないのはこのためだ。

「被害者に告訴の義務がある。航空会社が代行することはできない。通報件数は、被害件数より少ないとみられる」と、米客室乗務員協会の広報担当者テイラー・ガーランド氏は言う。

アジア太平洋航空会社協会のアンドリュー・ハードマン事務局長は、IATAのデータは慎重に見る必要があると指摘する。

「報告事案の内容には必ずしも基準があるわけではなく、各社が自主的に報告するレベルには大きな差がある」と、ハードマン氏は言う。「セクハラが絡む案件には、言葉による嫌がらせから実際に体に触れるわいせつ行為までさまざまだ。わいせつ行為の件数は比較的少ないが、常に重く受け止められている」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:イラン戦争でインフレ再燃、トランプ政権に

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、中東停戦維持期待で安全資産

ワールド

イラン交渉団がパキスタン到着、レバノン停戦要求 米

ビジネス

米国株式市場=まちまち、中東交渉控え様子見 ハイテ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 7
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 8
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 9
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中