最新記事

セクハラ

暴力事件の影で見過ごされる旅客機内のセクハラ 航空会社は対応を

2017年12月20日(水)17時10分


恥の文化

ロイターが取材した主要航空会社20社以上のうち、フライト中のセクハラ事件の件数を公表したのは、日本航空<9201.T>だけだった。年間10─20件で、警察に通報することもあるという。

マレーシアの格安航空会社(LCC)エアアジア のスハイラ・ハッサン氏は、乗客間のハラスメントの報告はこれまでないものの、乗務員がハラスメント被害に遭うことは時々あると話す。

航空会社側に通報されない案件もいくつかあると考えらえる、とハッサン氏は語る。「文化のせいだと思う。表ざたになるのを恥ずかしがる人は多い」

この指摘は、職場でのセクハラの75%が報告されていないという米国での研究とも合致している。

アジアでは、セクハラを公に議論する文化が比較的弱い。

「人々が一般的にあまり声を上げない文化だと思う。被害者は、沈黙の中で苦しんでいる」と、シンガポール航空の元乗務員で、今ではアジアや中東で乗務員訓練のコンサルティングを行うジェイソン・タン氏は言う。

ジェット航空の元乗務員のエルザマリー・ダシルバ氏は、現在はセクハラや性的被害の事案をクラウド収集するサイトを運営している。同氏は、インドでは、被害に遭ったことを恥と感じる人が多く、被害者側が訴えた内容を証明しなければならないため、通報件数が少ないという。

「インドの航空業界は、もっと事態を重く見るべきだ」と、同氏は話す。

乗務員訓練

大半の航空会社は、暴力やわいせつ行為から、言葉での脅迫や航空機器へのいたずらまで、さまざまな種類の「手におえない乗客案件」に対応する訓練を実施している。

「乗務員は、こうした事案に対応する訓練を受けているが、一定限度までだ」と、航空関係の保安訓練会社グリーンライトのフィリップ・バウム氏は言う。

「世界で行われているほとんどの乗務員保安訓練は、1日で終わる。2日かかることもある。想定される事態はあまりに多様で、あらゆる種類の手におえない乗客を想定してやったら、1週間かかってもおかしくない」

IATAによると、昨年報告があった「手におえない乗客」案件約1万件の約3分の1が、飲酒がらみだった。不適切な性的行為は、わずか2%だ。

「そのような案件は少ないが、われわれの乗務員は危険な事態に対処できるよう、よく訓練されている」と、欧州LCCイージージェットの広報担当者は話す。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:イラン戦争でインフレ再燃、トランプ政権に

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、中東停戦維持期待で安全資産

ワールド

イラン交渉団がパキスタン到着、レバノン停戦要求 米

ビジネス

米国株式市場=まちまち、中東交渉控え様子見 ハイテ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 7
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 8
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 9
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 10
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中