最新記事

イギリス社会

【写真特集】イギリスに生きるムスリムの葛藤

2017年12月6日(水)18時30分
Photographs by MAHTAB HUSSAIN

<「自分はいったい、何者か?」アイデンティティーの探求にもがく英在住ムスリムの若者たちの姿>

イギリスの街角に立つ浅黒い肌の彼らは、カメラを見据えながらこう問い掛けているようだ――自分はいったい、何者か?

パキスタン系イギリス人の写真家マタブ・ハサンは、現代イギリス社会に生きる南アジア系ムスリムの青年たちを9年間にわたり撮影してきた。ロンドン、ノッティンガム、バーミンガムなどの地域社会で彼らと対話し、その言葉も記録する。

ハサンがこのプロジェクトに乗り出したのは、移民の両親の元に生まれた自身の境遇ゆえだ。同じ移民の居住地区で過ごした幼少期は人種について疑問に思うこともなかったが、両親の離婚で状況は一変。白人労働者階級地区に移り住むと、「パキ」「いつ国に帰るんだ」といった言葉を浴びせられるように。一方で、白人の友人もできたハサンはパキスタン系の仲間から「白人過ぎる」と揶揄された。

移民の中だけで育ったら、「自分と違う人々を恐れるようになっただろう」とハサンは言う。「白人至上主義者がマイノリティーに恐怖を抱くのと同じ。人種差別は双方向に働く」

アイデンティティーの探求にもがく若者たちの姿を、ハサンは鮮やかに切り取っている。

Photographs by ©Mahtab Hussain 2017 courtesy MACK; from the book "You Get Me" co-published by MACK and Light Work


ppmuslim02.jpg


「もし誰かに自分のアイデンティティーについて聞かれたら?
『もちろんイギリス人だ』って言いたいところだけど、
えっ?という顔で聞き返されるのは分かっているから、
『いや、イギリスのムスリムだ』と答えざるを得ないだろう」

「自分は望まれない存在だ。ここで生まれたのに、
今でも『国へ帰れ、ここの人間じゃないだろう』と言われる。
僕はこう思う。僕の家はここだ」

「僕はイギリス人でアジア人......そう、半々だ。
誰だって自分のルーツを忘れないだろ?
だからってココナツ(外側が茶色で中身が白い
白人かぶれの有色人種)なんて呼べないだろ?」

「自分はイギリス国民だ、パスポートも持っている。
祖先も自分もこの国で働き、
イギリスを形作るのに貢献している」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

支配地域からの軍撤退、反対が過半数 ウクライナの世

ワールド

中ロの軍艦、グリーンランド周辺海域で確認されず=デ

ワールド

トランプ氏、カナダ・中国の関税引き下げ合意に支持表

ワールド

ベネズエラのマチャド氏、「自由で公正な選挙」確信 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手がベネズエラ投資に慎重な理由
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 5
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 6
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 7
    イランの大規模デモ弾圧を可能にした中国の監視技術─…
  • 8
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 9
    日中関係悪化は日本の経済、企業にどれほどの影響を…
  • 10
    122兆円の予算案の行方...なぜ高市首相は「積極財政…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 4
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 5
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 6
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 7
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試…
  • 8
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 10
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中