最新記事

エネルギー

中国、海上浮動式原発をまもなく完成へ 南シナ海に展開狙う?

2017年10月31日(火)14時00分

10月31日、中国初の海上浮動式の原子力発電所がまもなく完成する見通しだ。写真は実証プロジェクトに関わる中国海洋石油(CNOOC)のロゴ。香港で3月撮影(2017年 ロイター/Bobby Yip)

中国初の海上浮動式の原子力発電所がまもなく完成する見通しだ。プロジェクトにかかわった技術者らが明らかにした。中国は南シナ海で軍事演習を行ったり施設を建設するなど軍事拠点化を進めており、懸念が強まりそうだ。

中国政府は海上原発により、新しい市場の獲得だけでなく、南シナ海の島および石油・ガス掘削リグに電力を安定供給することで「強い海運国」になる大望を支援することにつながるよう期待している。

国有の中国船舶重工集団(CSIC)の技術者であるZhang Nailiang氏によると、技術は「十分成熟」しており、同国北東部の渤海における掘削基地で最初の実証プロジェクトがまもなく行われるという。

同氏は今月開催された業界の会議で「もうまもなく完成することに自信を持っている」と述べた。具体的な日程については明らかにせず、2020年よりかなり前に準備が整うと説明した。

実証プロジェクトはCSIC、中国海洋石油(CNOOC)および、原子炉建設の中国核工業集団(CNNC)と中国広核電力(CGNパワー)の調査チームが開発している。

今月開催された中国共産党大会で、習近平国家主席は海運国としての存在感を高める目標を再度掲げており、Zhang氏は海上原発がこの政治的目標に貢献すると述べた。

一方で専門家からは、海上原発は安全性やセキュリティーの問題につながる可能性があるとの懸念が出ている。

シンクタンク、カーネギー国際平和基金の核政策プログラムの上級フェロー、マーク・ヒブス氏は「問題は、遠隔にあることでセキュリティー、安全性、経済、物流面であらゆる種類の疑問が生じるということだ」との見解を示した。さらに、周辺国と領有権問題が起きている南シナ海の軍事化につながりかねないとも指摘した。

[上海 31日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

仏ルノー、モビライズ部門再編 一部事業撤退・縮小

ビジネス

中国の新規銀行融資、11月は3900億元 予想下回

ビジネス

ECB、大手110行に地政学リスクの検証要請へ

ワールド

香港の高層住宅火災、9カ月以内に独立調査終了=行政
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれなかった「ビートルズ」のメンバーは?
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 5
    【揺らぐ中国、攻めの高市】柯隆氏「台湾騒動は高市…
  • 6
    受け入れ難い和平案、迫られる軍備拡張──ウクライナ…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 10
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中