最新記事

米朝関係

北朝鮮、米が宣戦布告と主張 領空外でも爆撃機撃墜など対抗策と警告

2017年9月26日(火)10時35分

9月25日、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は、トランプ米大統領が23日に同外相の国連演説を受けて「彼らの先は長くない」とツイッターに投稿したことについて、北朝鮮に宣戦布告を行ったものだと主張。写真はトランプ大統領。24日、メリーランド州の米軍基地で撮影(2017年 ロイター/Aaron P. Bernstein)

北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は25日、トランプ米大統領が23日に同外相の国連演説を受けて「彼らの先は長くない」とツイッターに投稿したことについて、北朝鮮に宣戦布告を行ったものだと主張した。その上で、北朝鮮は領空外を飛行する米国の戦略爆撃機の撃墜を含め、あらゆる対抗手段を講ずる権利を有すると警告した。

李外相はニューヨークで記者団に対し「わが国に対して最初に戦争を仕掛けてきたのは米国であることを全世界は明確に記憶すべき」と発言。「米国がわが国に宣戦布告をした以上、わが国には対抗手段をとる権利がある。それには、わが国の領空外を飛行する米国の戦略爆撃機を撃墜する権利も含まれる」と語った。

また、「先が長くないのが誰かはその時に分かる」とも述べた。

米ホワイトハウスは25日、米国が北朝鮮に対し宣戦布告を行ったとする北朝鮮外相の主張を否定し、「馬鹿げている」とコメントした。

李外相は23日、ニューヨークで開催中の国連総会で演説し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と呼んだトランプ米大統領の発言を「北朝鮮のロケットが米国本土に到達することを不可避にした」と強く非難した。

この演説の数時間前、米空軍の戦略爆撃機「Bー1B」数機が護衛の戦闘機とともに北朝鮮の東方沖合の国際空域を威嚇飛行した。国防総省によると、米軍の戦闘機・爆撃機としては今世紀に入って最も北の位置まで飛行したという。

同省の報道官は25日、「今回の作戦は国際空域で行われたものであり、われわれは合法的に飛行・航行できる」と語った。

報道官は先に、今回の飛行任務について「米国の決意を示すとともに、トランプ大統領が脅威に対抗するため多くの軍事的選択肢を持っていることを明示した」と説明している。

米ランド研究所の専門家は、北朝鮮の能力では米軍の爆撃機をミサイルあるいは戦闘機で撃墜するのは難しいと指摘。撃墜を試して失敗した場合、北朝鮮の弱さが露呈することになるため、「そのようなリスクを取る可能性は低い」との見方を示した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

神田財務官、介入有無コメントせず 過度な変動「看過

ワールド

タイ内閣改造、財務相に前証取会長 外相は辞任

ワールド

中国主席、仏・セルビア・ハンガリー訪問へ 5年ぶり

ビジネス

米エリオット、住友商事に数百億円規模の出資=BBG
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中