最新記事

日本政治

「過半数割れなら辞任」 安倍首相が解散表明、国難突破解散と命名

2017年9月25日(月)20時40分

9月25日、安倍晋三首相(写真)は28日召集の臨時国会冒頭で衆院を解散すると正式表明した。社会保障制度を「全世代型」に転換させ、新たに2兆円規模の政策を取りまとめると訴えた(2017年 ロイター/Toru Hanai)

安倍晋三首相は25日、官邸で記者会見し、28日召集の臨時国会冒頭で衆院を解散すると正式に表明した。社会保障制度を「全世代型」に拡充し、新たに2兆円規模の対策を取りまとめるのと引き換えに、2020年度の基礎的財政収支の黒字化は困難との見通しを表明。事実上、財政健全化目標を先送りする考えも示した。首相は、少子高齢化や挑発行動を続ける北朝鮮情勢が「国難」とする認識も示し、今回の衆院解散を「国難突破解散」と命名した。

安倍首相が新たに2兆円規模の対策策定を表明したのは、2019年10月の消費増税に併せ、5兆円超に上る増税分の使途を、子育て支援などに充てる必要があるとの判断からだ。

安倍首相は会見の中で「所得の低い世帯の高等教育無償化は、必ず実現する。リカレント教育を抜本的に拡充し、幼児教育の無償化も一気に進める」と明言。20年度までの3年間を「生産性革命」の集中投資期間と位置付け、賃上げの流れを加速させる減税措置の導入も視野に「税制や予算など、あらゆる施策を総動員する」と強調した。

消費増税分の使途変更に伴い、20年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標については「達成が困難」との認識を示した。

一方で、安倍首相は「財政再建の旗は降ろさない」と述べ、債務残高対GDP(国内総生産)比の目標を念頭に、引き続き、財政健全化への取り組みを続ける姿勢を示した。

社会保障制度の見直しに伴う増税分の比率変更については「(財政健全化と教育にまわす分の)おおむね半々」と述べるにとどめた。今後、政府内で調整する考えも示した。

会見の中で、安倍首相は、10月22日投開票の衆院選の勝敗ラインにも言及し「政権選択選挙。獲得議席が過半数(233議席)に届かなければ辞任する」と語った。

衆院選に踏み切るのは、少子高齢化や核・ミサイル開発を続ける北朝鮮対応の「国難に対処するため」との認識も示し、今回の解散を「国難突破解散」と自ら名付けた。

[東京 25日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

11.5兆ドル規模の投資家団体、食品大手にタンパク

ビジネス

BNPパリバ、第3四半期利益は予想未達 統合費用と

ビジネス

日経平均は3日ぶり反落、前日高後の利益確定売りが優

ワールド

BAT、米で未承認電子たばこ試験販売中止 FDAが
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 3
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下になっていた...「脳が壊れた」説に専門家の見解は?
  • 4
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 5
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 6
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 7
    中国のレアアース輸出規制の発動控え、大慌てになっ…
  • 8
    「死んだゴキブリの上に...」新居に引っ越してきた住…
  • 9
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中