最新記事

韓国

あの〈抗日〉映画「軍艦島」が思わぬ失速 韓国で非難された3つの理由

2017年8月19日(土)14時00分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)

reuters20170819135226.jpg

今や人気絶頂の韓流スターとなったソン・ジュンギが主演したのに予想されたほどには興業成績が伸びなかった「軍艦島」 (C) CJ E&M


しかし封切後、「軍艦島」は批判的な話題で取り上げられることが多くなった。まず初めに問題となったのが、韓国映画史上最多のスクリーン数を確保した公開スタイルである。

オープニングの7月26日、「軍艦島」は2168スクリーンで公開された。おかげで初日の観客動員数は97万人、2日目には150万人を軽く突破した。これは、「軍艦島」が韓国の大手映画会社CJエンターテインメントの製作・配給作品であり、同社系列で韓国最大のシネマコンプレックスCGVが全国約1000スクリーンを確保したため可能になった数字である。韓国国内の全スクリーン数が現在2575スクリーンだから、公開初日の2168スクリーンというのは実にその85%以上を占める数字であり、映画館に行けばどの映画館でも上映しているのはもちろん、映画館によっては一館の複数スクリーンでこの「軍艦島」を上映している状態だった。

【参考記事】セウォル号、接待禁止に台風直撃 韓国社会の問題が噴出した釜山映画祭
【参考記事】女性脱北ブローカーの数奇な運命を追ったドキュメンタリー『マダム・ベー』


この映画館独占状態については、観客はもちろん、各所から非難の声が集まった。
映画監督のミン・ビョンフンは26日、自らのSNSで「これは狂気だ」と強く批判し、それに対してネットユーザーたちからも同調する声が数多く寄せられた。この問題はそれだけでは収まらず、リュ・スンワン監督と、「軍艦島」の制作会社「外柔内剛」代表取締役であり、リュ・スンワンの妻でもあるカン・ヘジョンが、映画監督協会、映画制作社協会、韓国映画プロデューサー組合など韓国の主要な映画組合から脱退することとなったのである。

映画が公開されてしばらく経つと、さらに新たな批判が持ち上がった。映画の内容についてである。初めに述べたように、「軍艦島」というタイトルは韓国人にとって聞くだけで"日帝の圧政に虐げられる"ストーリーであると想像できる。観客はもちろんそのような内容の展開を期待して映画館に足を運んだはずである。しかし、この作品はそんな観客の期待を満足させることはできなかったようだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン戦争は2週目に、トランプ氏「無条件降伏」求め

ビジネス

アングル:欧州で若者向け住宅購入の新ビジネス、価格

ワールド

焦点:道半ばの中国「社会保険改革」、企業にも個人に

ワールド

昨年の関税合意実施を米と確認、日本が不利にならない
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だったはずの中国が、不気味なまでに静かな理由
  • 2
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 3
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 4
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    10歳少女がライオンに激しく襲われる...中国の動物園…
  • 7
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 8
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中