最新記事

米政権

トランプの「嘘」まとめ(就任式、対日要求ほか)

2017年1月26日(木)06時32分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

(番外編)就任演説の際は神が雨を止めた!

 驚くべきことだが、トランプは天気についても嘘をつく。21日のCIA職員に向けた話の中で、トランプは20日の就任演説に関してこう発言している。

「神が見降ろしてこう言ってくださった。『あなたの演説で雨は降らせない』。実際、話し始めると......本当の話だが、雨がすぐに止んだのだ。あれは本当に素晴らしかった。その後、空は晴れ渡り、演説を終えて立ち去ると大雨になった」

「違う、話し始めると雨が降り出したのだ」と、ニュースサイト「デイリー・ビースト」のマイケル・トマスキーは書く。「壇上の何人かがポンチョをかぶり始めたのが視聴者の目にも明らかだった(小雨で長くは続かなかったが、雨であることに変わりはない)。その後に大雨になったとトランプは言うが、それも違う」

 就任式会場で取材した本誌の小暮聡子も「就任宣誓を経てトランプ新大統領が誕生すると、その瞬間に止んでいたはずの雨が降り始めた」と書いている。なぜ、すぐにバレるような嘘をつくのか。

***

 難しいのは、トランプやその取り巻きたちが嘘を嘘とも思っていないようにみえることだ。22日にNBC『ミート・ザ・プレス』に出演したケリーアン・コンウェイ大統領顧問は、スパイサー報道官がなぜ記者会見で「観客数は過去最大」という明らかな嘘をついたのかと質問され、こう答えた。

「あなたは嘘だと言うが、ショーン・スパイサー報道官が提示したのはオルタナ・ファクト(alternative facts)だ」

 事実の代替となる(オルタナティブな)事実――というわけだ。もちろん不可解な言葉ではあるが、「偽ニュース」と「ポスト真実」を背景に始まったトランプ時代に似つかわしい表現かもしれない。

 たとえ事実と異なるオルタナ・ファクトだとしても、言う側がそれを意識せず(あるいは戦略的に嘘をつき)、また受け取る側も気にかけなければ、強い影響力を持ち得る。メディアはファクトチェックに忙しくなり、そのために重要な論点を十分に掘り下げられないという事態が生じるおそれもある。

 いずれにせよ今後もトランプの「嘘」を無視することはできないだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金利先物、9月利下げ確率60%に小幅上昇 PCE

ビジネス

ドル34年ぶり157円台へ上昇、日銀の現状維持や米

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中