最新記事

航空機

大韓航空パイロットがスト 元凶は高給で引き抜きをする中国?

2016年12月23日(金)07時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

21日からパイロットによるストライキで欠航便が出ている大韓航空機 (写真は2011年パリ航空ショーで撮影 REUTERS/Pascal Rossignol)

<大韓航空のパイロット労働組合が今日から31日まで10日間のストライキに突入した。年末で繁忙期の航空業界にあって、なぜ今ストを決行するのか? そこには今の航空業界の問題が隠れている......>

 年末の帰省や観光で混み合う仁川国際空港に21日、「欠航便のご案内」というポスターが掲示された。朝9時に仁川を出発して成田に向かうKE701便を含む大韓航空の旅客機がパイロット労働組合のストにより欠航することの案内だ。

 エネルギー経済新聞など、韓国メディアはこの大韓航空の欠航とパイロット労働組合によるストについて、国土交通省の対応なども含めて一斉に報じている。それによると、今回のストライキでは国際線は全体の2%にあたる24便、国内線は全体の15%にあたる111.5便(0.5は片便のみ)、そして貨物便も12便運休となり、合計で 147.5便が欠航することが予定されている。

 11年ぶりの部分ストライキに踏み切った大韓航空パイロット労働組合は21日午後、韓国民間航空パイロット協会のオフィスで記者懇談会を開き、今回のストライキについての経緯を説明。「我々が納得できるような賃金交渉案を会社側が提示すれば、いつでもすべてのストを中止する」と語った。

ストの目的は危機的状況を知らせるため

 大韓航空のパイロット組合側は、2015年度の賃金交渉で当初37%ものベースアップを要望したが、赤字経営状態にあるという会社側は一般職員労組と同じ1.9%ベースアップを提示。現在労組は29%引き上げを求めている。あまりに無理難題を要求しているとも思える労組だが、イ・ギュナム労組委員長はその理由を説明した。

「会社は一般職労組と会社で決定したベースアップ率以上は絶対に受け入れることができないと言いますが、このままでは運航の安全に責任を持つ有能なパイロットが大挙退職する可能性があり、運航安全システムが崩れる恐れがあります」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRBは利下げ余地ある、中立金利から0.5─1.0

ビジネス

米ワーナー、パラマウントの買収案を拒否 ネトフリ合

ビジネス

企業は来年の物価上昇予測、関税なお最大の懸念=米地

ビジネス

独IFO業況指数、12月は予想外に低下 来年前半も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 10
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中