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南スーダンは大量虐殺前夜

On the Brink of Genocide

2016年12月13日(火)11時00分
コラム・リンチ

Bullen Chol-Anadolu Agency/GETTY IMAGES

<民族間の対立激化で全国的な戦乱拡大は必至。PKO増派も武器禁輸もやるだけ無駄なのか>(写真:南スーダン独立の立役者となったスーダン人民解放軍〔SPLA〕は今や新たな戦闘に忙しい)

 南スーダンの政治・治安情勢は著しく悪化しており、組織的なジェノサイド(大量虐殺)の危険性が高まっている――。国連安全保障理事会の専門家パネルがそう警告したのは、先月半ばのこと。これを受け、ついにアメリカは南スーダンへの武器禁輸決議に向けて動き出した。

 だがそれも、もはや手遅れかもしれない。11年に誕生した南スーダンでは、3年前に内戦が勃発。国外から入ってきた大量の武器や弾薬が、政府軍はもとより反政府組織や市民の間にも行き渡り、12月の乾季を前に戦乱拡大は必至の状況になっているのだ。

 これに対してアメリカのオバマ政権の対応は迷走している。ジュネーブの国連人権理事会に派遣されているキース・ハーパー大使は先月末、「南スーダン政府は、(首都ジュバのある)中央エクアトリア州で一般市民を虐殺しているほか、向こう数日または数週間で、大規模な攻撃を計画しているという信頼に足る情報がある」として、国際社会の行動を訴えた。

 ところがニューヨークでは、サマンサ・パワー米国連大使が、武器禁輸決議案の提出棚上げを余儀なくされた。採択に必要な9カ国の同意を得られそうにないことが分かったためだ。

 しかも反対に回りそうなのは中国やロシア、ベネズエラなど伝統的に反米の理事国だけではない。日本などアメリカに近い同盟国も反対を表明している。日本は南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に数百人を派遣しており、南スーダン政府の不興を買いたくないと考えている。

【参考記事】民族大虐殺迫る南スーダン。国連安保理の武器禁輸措置決議になぜ日本は消極的なのか

「13年に武力衝突が始まったとき、アメリカがすぐに(武器禁輸決議を)推進したらよかったのだが」と、ジュバの市民団体「進歩のための地域エンパワメント機関(CEPO)」のエドマンド・ヤカニ事務局長は語る。「今やジェノサイドが起きる可能性は高まっている」

 南スーダン政府は先月末、新たに4000人規模のPKO部隊を受け入れることを決めた。だが、本来なら大規模な貢献が期待されたはずのケニア軍の参加は見込めない。今年7月にジュバで大規模な衝突が起きたとき、PKO部隊が適切な対応をしなかったとして、潘基文(バン・キムン)国連事務総長がケニア人司令官の解任を発表。これに激怒したケニア政府が、軍を引き揚げてしまったのだ。

「安保理は方向を見失ってしまった」と、ヨーロッパ外交評議会の研究員リチャード・ゴワンは語る。もはやアメリカと安保理の努力は「現実味に乏しい」。ジュバへの増派も無駄に終わる恐れがある。「既に武力衝突はジュバ以外の地域に移っている。ジュバのPKOを増強しても、南スーダン全体への混乱拡大は防げないだろう」

米外交団の致命的ミス

 アメリカの決議案提出棚上げは、末期を迎えたオバマ政権の影響力低下を浮き彫りにした。と同時に、もっと早い段階で地道な根回しに力を入れなかったのは、米外交団の「戦略ミス」だという指摘がある。

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