最新記事

保護主義

欧米食品メーカー、中国の輸入食品への安全規制強化に反対

2016年12月9日(金)19時36分

12月9日、欧米の政府関係者と通商当局者は、中国の食の安全に関する新たな規制案に強く反対していると明らかにした。規制により、中国への食品の輸出額が数十億ドル分妨げられると主張する。写真は中国湖北省の食物加工工場で1月撮影(2016年 ロイター)

 欧米の政府関係者と通商当局者は、中国の食の安全に関する新たな規制案に強く反対していると明らかにした。規制により、中国への食品の輸出額が数十億ドル分妨げられると主張する。

 4月に発表された新たな規制案は、中国政府が無秩序に拡大する食品のサプライチェーンの監視を強化する一環で導入され、中国に輸入されるすべての食品に対し、想定される健康リスクの程度にかかわらず、来年10月から安全証明書の添付を義務づけるもの。

 原則として乳製品や肉類など腐敗しやすい製品にのみ証明書の添付を義務付けている欧米諸国よりもはるかに厳しい規制となる。

 米菓子大手ハーシー、米食品大手クラフト・ハインツ、米食品・飲料会社モンデリーズ・インターナショナル、英蘭系日用品大手ユニリーバなど中国で事業を営む世界的なサプライヤーにとっては物流面でもコスト面でも頭痛の種となりそうだ。

 ドイツのミヒャエル・クラウス駐中国大使はロイターに対し、規制案について「海外からの食品輸入の大半が止まる可能性がある」とし、「消費者保護の域を超え、明白な保護主義を表している」との考えを示した。

 新たな規制は中国産の食品については輸入品と同じ基準を満たすことを求めていない。

 ハーシーは、食の安全に関する規制の実施について中国政府と意見を交換したと明らかにした。

 モンデリーズ、クラフト・ハインツ、ユニリーバ、 スイス食品大手ネスレ、仏食品大手ダノンはコメントの求めに応じていない。

[北京 9日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

日本供与のエムポックスワクチン、3分の1が廃棄 コ

ワールド

焦点:米航空会社、感謝祭目前で政府閉鎖の影響に苦慮

ワールド

アングル:ガザ「分断」長期化の恐れ、課題山積で和平

ビジネス

国内外の不確実性、今年のGDPに0.5%影響=仏中
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入口」がついに発見!? 中には一体何が?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 6
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 7
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働…
  • 8
    「流石にそっくり」...マイケル・ジャクソンを「実の…
  • 9
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 10
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中