最新記事

移民

日本の法律が迫る家族分断 不法就労の仮放免者らに重い選択

2016年11月23日(水)11時46分

 11月22日──9月半ば、朝の成田国際空港。16歳の少年ウティナン・ウォン(左)はタイに帰国する母を固く抱き締めた後、出発ゲートに消えていく後姿をじっと見送った。9月撮影(2016年 ロイター/Thomas Wilson)

 9月半ば、朝の成田国際空港。16歳の少年ウティナン・ウォンはタイに帰国する母を固く抱き締めた後、出発ゲートに消えていく後姿をじっと見送っていた。

6月30日、東京地裁はウティナンと母ロンサン・パーパクディの退去強制処分撤回を求める訴えを退けた。判決では、状況が変化した場合、子どもの在留特別許可について再検討される余地がある、となっていた。しかし、その前提となるのは母親の本国への退去だった。

母ロンサンは20年以上日本で暮らしていた。彼女にとって、この判決が自らに突き付けた重い選択は明らかだった。自分さえタイに帰れば、息子が日本に定住できる道が開ける。

「本当は帰るっていうのは考えられなくて。でも裁判で負けてしまった」。バンコク行きの便に搭乗する数時間前、空港でロンサンは語った。「こんなことになるとは思っていなかった」。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

英財務相、金融業界の規則緩和さらに推進へ 「成長を

ビジネス

米大手銀、ディールメーキングの回復で第2四半期利益

ワールド

トランプ氏、退職年金にプライベート市場投資促す大統

ビジネス

物価目標2年で実現できず、異次元緩和に懐疑論=15
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 5
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 6
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 7
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 8
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中