最新記事

イギリス政治

イギリス補欠選挙で「残留」派の反乱が起こる?

2016年10月28日(金)17時33分
ジョシュ・ロウ

英保守党のメイ首相 Toby Melville-REUTERS

<移民割当てもすべて拒否してEU統一市場へのアクセスも失うハードブレグジットに向かうかと見えたイギリスで、親EU派がモノ申すチャンスがやってきた>

 ブレグジット(イギリスのEU離脱)と言えばこれまでは、社会から締め出された「持たざる者(have-nots)」が、EUやエリート層に反旗を翻した結果のはずだった。食べていくのがやっとの収入しか得られず、社会保障は削られ、保守的な意見がバカにされる状況に、これ以上黙っていられないという人々の怒りが爆発した結果だと言われてきた。

【参考記事】エリートは無知な大衆に立ち向かえ

 親EUで与党保守党と連立を組む自由民主党は今、逆に「持てる者(haves)」が反乱を起こすことに懸けている。その舞台となるのは、ロンドン南部リッチモンドパークで実施される補欠選挙だ。ヒースロー空港の拡張を承認した英政府の決定に抗議して、保守党議員のザック・ゴールドスミスが辞職したのを受けて行われる。

【参考記事】「ハードブレグジット」は大きな間違い?


 選挙戦の鍵は、ブレグジットに反対した有権者がどのような投票行動を示すかにある。結果次第では、英政府の今後の方針を左右する可能性がある。

リベラルなエリートを狙え

 無所属で出馬するゴールドスミスの主な支持層は、金融や広告関係者、医師など、都市部のリベラルなエリートの寄せ集めだ。ロンドンの高級スーパー「ウェイトローズ」の食材を好み、控えめながら美しいスポーツカーに乗って6月23日の国民投票に向かい、「残留」に票を投じたような人々だ。彼らのうち「離脱」を支持したのは3万3500人で、「残留」は実に7万5000人以上に上った。ただしゴールドスミス自身はブレグジット支持者で、今回は暮らしに直結するヒースロー問題に争点を絞るつもりだ。

【参考記事】イギリスの「モデル」、ノルウェーはなぜEU非加盟?

 ゴールドスミスに投票した残留派の票を奪いたい自民党のティム・ファロン党首は26日、リッチモンドパークで議席獲得を狙うと明言した。今度の補欠選挙は、統一市場へのアクセスも捨てる「ハードブレグジット」に傾くテリーザ・メイ首相に「有権者の意思を示す」絶好の機会だと言った。自民党候補が当選すれば、英政府もハード路線を突き進むのは困難になるだろう。

 自民党が勝てば、ブレグジットについてこれまで異論を口にできなかった保守党の穏健派も勢いづくことになると、英マンチェスター大学のロバート・フォード教授(政治学)は言う。そうなれば、取り残されたと感じるのは「持てる者」の方になるかもしれない。

ニュース速報

ビジネス

独VWとSAIC、約6億ドル投じ上海工場刷新へ ア

ワールド

韓国、環境分野で雇用創出 950億ドル投資へ

ワールド

米のコミットメント支持=南シナ海巡る中国主張は違法

ビジネス

スウォッチグループ、上期は初の赤字転落 業績回復を

MAGAZINE

特集:台湾の力量

2020-7・21号(7/14発売)

コロナ対策で世界に存在感を示し、中国相手に孤軍奮闘する原動力を探る

人気ランキング

  • 1

    東京都、新型コロナウイルス新規感染206人 4日連続200人台、検査数に加え陽性率も高まる

  • 2

    新型コロナの起源は7年前の中国雲南省の銅山か、武漢研究所が保管

  • 3

    世界へ広がる中国の鉱物資源買収 オーストラリア・カナダ両国が「待った」

  • 4

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 5

    中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊は…

  • 6

    GoToキャンペーン「感染防止に注意し活用を」菅官房長…

  • 7

    抗体なくてもT細胞が新型コロナウイルス退治? 免…

  • 8

    なぜテレワークは日本で普及しなかったのか?──経済、…

  • 9

    中国・長江流域、豪雨で氾濫警報 三峡ダムは警戒水位3…

  • 10

    「自粛要請」で外出を控えた日本人は世界に冠たる不…

  • 1

    「金正恩敗訴」で韓国の損害賠償攻勢が始まる?

  • 2

    中国・長江流域、豪雨で氾濫警報 三峡ダムは警戒水位3.5m超える

  • 3

    科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求める

  • 4

    中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊は…

  • 5

    東京都、新型コロナウイルス新規感染206人 4日連続2…

  • 6

    生き残る自動車メーカーは4社だけ? 「ゴーン追放後…

  • 7

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 8

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで…

  • 9

    世界へ広がる中国の鉱物資源買収 オーストラリア・カ…

  • 10

    「香港国家安全法」に反対の立場を取ったトルドーに…

  • 1

    中国・三峡ダムに「ブラックスワン」が迫る──決壊はあり得るのか

  • 2

    「金正恩敗訴」で韓国の損害賠償攻勢が始まる?

  • 3

    国家安全法成立で香港民主化団体を脱退した「女神」周庭の別れの言葉

  • 4

    中国・長江流域、豪雨で氾濫警報 三峡ダムは警戒水位3…

  • 5

    科学者数百人「新型コロナは空気感染も」 WHOに対策求…

  • 6

    世界最大の中国「三峡ダム」に決壊の脅威? 集中豪…

  • 7

    中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで…

  • 8

    孤立した湖や池に魚はどうやって移動する? ようや…

  • 9

    東京都、新型コロナウイルス新規感染107人を確認 小…

  • 10

    ポスト安倍レースで石破氏に勢い 二階幹事長が支持…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
CCCメディアハウス求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
Wonderful Story
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月