最新記事

フード

ポートランドからやってきた、クラフトジンの緻密な魅力

2016年10月21日(金)16時05分
北篠芽以 ※Pen Onlineより転載

ジン初心者はソーダやレモン、オリーブなどと飲むのもお薦め。

 クラフトジンが楽しい。そもそもジンはスピリッツのひとつで、ジュニパーベリー(ねずの実)などの薬草成分を加えるため、作られる工房によって加えるボタニカルのバランスが異なります。クラフトジンはクラフトビールに続き、作り手や工房ごとの味わいの違いを楽しめ、今世界的に話題なのです。

 なかでも注目したいのが、今年ポートランドから上陸した「アリアポートランドジン」。なんと、まだ設立から4年しか経っていないにも関わらず、ウイスキーコンペティション「ワールドスピリッツアワード」のダブルゴールドをはじめ、名だたる賞を獲得しています。

(参考記事:これは世界初! ワインの権威が日本酒の格付けを発表、「いま飲みたい日本酒」78 本にご注目を!

 その魅力をファンは「オーケストラを聞いているよう」と称しました。口に含むと昔ながらのジンのようにジュニパーベリーがふわっと香り、それからシトラスが香る。そして、アンジェリカルートのフローラルな香りが全体を盛り上げ、余韻にはギニアショウガ、クベバなどのほろ苦さやウッディな香りが残ります。なるほど、オーケストラの壮大かつ緻密な演奏を聞いているようなシーンが、ひと口の間に広がるわけです。

 創立者のライアン・ツァンキー氏はポートランドで20年近くもの間、バーテンダーやレストランのバーマネージャーを務めた人物。バーカウンターに立ちながら、次々と誕生するアメリカのクラフトジンが、クラシックジンを好む人の口に合わない、マティーニも合わないことを嘆き、自分で理想のジンを作ること決意。パートナーとともに4年という年月、何百というレシピを試し、微調整を重ねて、2012年に「アリアポートランドジン」を完成させました。

(参考記事:日本ワインの礎を築いた男が、自らブドウを交配してつくった赤。

 ベースの蒸留酒はポートランドの水源であり、国内有数の飲料水として名高いブルラン分水嶺の水を使っています。ソフトな口当たりの魅力を活かし、徹底的な濾過でよりジンの香りが際立つように。遺伝子組換えでないコーン、麦、ライ麦を使い、極上の、クリアでシンプルなベーススピリットを作り出しました。

 また、香りをつけるボタニカルは95%がオーガニックです。ジュニパーベリーはもちろん、コリアンダー、オレンジピール、シナモンやカルダモンなど、できるだけ地元のものを使うのもクラフト的です。使うボタニカルは10種類以上と豊富で、その香りの構築は非常に緻密に計算しつくされています。

(参考記事:世界で3点のみ! コニャックの王「ルイ13世」のオーダーメイド「L'ODYSSÉE D'UN ROI」が、約1900万円で落札されました。

 日本でもいよいよ盛り上がっているクラフトジン。これ1本で家庭でもジントニックやマティーニを本格的に楽しむことができます。クラフトジンのファンも、これまでちょっと苦手だと思ってきた人にも試してもらいたい究極のスピリッツです。

pen161021-2b.jpg

「Aria」¥5,500 内容量:750mℓ アルコール度数:45%


アリアポートランドジン
問い合わせ先/クロンティップ
TEL:03-5988-7225
http://www.recocochi.com/

※当記事は「Pen Online」からの転載記事です。
Penonline_logo200.jpg



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナ中部にロシアミサイル攻撃、8人死亡 重要

ワールド

パキスタンで日本人乗った車に自爆攻撃、全員無事 警

ビジネス

英小売売上高、3月は前月比横ばい インフレ鈍化でも

ビジネス

日産、24年3月期業績予想を下方修正 中国低迷など
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中