最新記事

ワークプレイス

ABWを徹底的に研究、導入し、満足度の高いオフィスを実現

2016年9月9日(金)16時42分
WORKSIGHT

wsGoodman-2.jpg

階段を上ったところには"電話ボックス"やコラボレーション・デスクがあり、オープンスペースが広がる。

wsGoodman-3.jpg

オフィス内に設けられたセミクローズドの会議室。

ワーカー全体の93%が「新しいオフィスを誇りに思う」と回答

 ここに、オフィスリニューアル後の2011年11月にワーカーから集めたアンケート結果がある。「現在のオフィスのほうがやる気が上がるか」に対し、「強く賛成」が33%、「賛成」は46%。「ワークスペースの変化によって仕事がより楽しめるようになったか」に対し、「強く賛成」が36%、「賛成」は43%。そして「新しいオフィスを誇りに思うか」に対し、「強く賛成」が40%、「賛成」は53%。結果的にオフィスリニューアルは大成功を収めたというわけだ。

 懸念されていたデスク割り当て問題も難なくクリアしていた。「オフィス拡張当時、ワーカー180名に対して120台のデスクを用意しました。つまり、従業員の60%分です」(デビッド氏)。オフィススペースの使用率を調べたところ、最も使用率が高い時で80%、最も低い時は40%、週の平均が60%だったのだと言う。もしワーカー全員が出社したとしても、ベンチやミーティングルームがあるため、どこかしらに全員が座れるスペースは確保できていた。デスクの数を減らし、オープンスペースやオフィス家具の配置が異なるエリアを増やす――それがワーカーに快く受け入れられたことが、アンケートによって証明された。

 現在のオフィスは大きく2つのゾーンに分かれており、片方が企業グループのグローバル事業に関わるフロア、もう片方がオーストラリア国内の事業に関わるフロアとなっている。従来はバラバラに仕事をしていたが、最近では、この2つのゾーンがコラボレートし始めているそうだ。「国内事業に携わるワーカーは、グローバル事業、例えば日本事業の状況についてよく知りません。しかし、ABWのお陰で、ワーカーはグッドマンの海外各地での事業展開を知る機会が増えました。ノートパソコン、ビデオ会議、スカイプやWi-Fiなど、あらゆるIT機器、AV機器が用意されているので、こうしたコラボレーションが生まれるのです」(デビッド氏)。

【参考記事】旧来の銀行を激変させる「リアルタイムワーキング」

綿密なチェンジ・マネジメントがABW導入の鍵だった

 もちろん、今回のリニューアルの成功の裏には綿密なチェンジ・マネジメントが功を奏していたことにも触れなくてはならない。スペースに限りがあった以前のオフィスでは、デスク周りやキャビネットに保管されていた膨大な紙の資料が悩みの種だった。デビッド氏は言う。「ABWへの移行を決定した時、ワーカーには『所有物はロッカーに入るくらいの箱に収まるように』と伝えました。引っ越しの前にオフィス全体で紙の使い方を分析して見直し、移転先ではスキャニング、オンライン・ストレージ、外部の書類保管庫などを利用して紙の使用量を最低限に抑えることにしました」。

 実際、優れたワイヤレス環境が整備されたことでワーカーのモバイル化が進み、会議の際は紙のノートではなく、ノートパソコンを持参するようになった。液晶ディスプレイやスクリーンに資料を映し、その場で修正を行い、その修正が元のドキュメントに反映される、といったことが可能になっている。社内の紙の消費量は従来より60%も削減された。環境への影響も考えると、これは大きな成果だ。

wsGoodman-4.jpg

キッチンスペース。ワーカー専用のコーヒーマシンもここに置いてある。ちなみにグッドマンでは、オフィスのデスクでの食事は禁止されている。キッチンで食事をとることで、社員同士の交流が生まれる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日銀利上げ、促すということではなかったと認識=米長

ビジネス

円債は入れ替え中心で残高横ばい 国内株は株高受け売

ワールド

各国の新気候計画、世界の温室効果ガス排出が減少に転

ビジネス

三菱重やソフトバンクG、日米間の投資に関心表明 両
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 3
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下になっていた...「脳が壊れた」説に専門家の見解は?
  • 4
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 5
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 6
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 7
    「死んだゴキブリの上に...」新居に引っ越してきた住…
  • 8
    中国のレアアース輸出規制の発動控え、大慌てになっ…
  • 9
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中