最新記事

フィリピン

ドゥテルテ次期比大統領、ジャーナリストは「死んで当然」

2016年6月1日(水)17時40分
シボーン・オグレイディ

Erik De Castro-REUTERS

<強硬な犯罪撲滅を掲げてフィリピン次期大統領の座を射止めたドゥテルテが、ジャーナリスト殺害は「当然だ」と発言。フィリピンはジャーナリストにとってますます危険な国になりそうだ> 写真は、ドゥテルテの巨大な選挙ポスター

This article first appeared in Foreign Policy Magazine.

 2003年、フィリピン南部の都市ダバオのロドリゴ・ドゥテルテ市長を批判していた辛口のラジオコメンテーター、ジュン・パラが、バイクに乗った男たちに銃撃され、殺害された事件があった。

 5月31日、今やフィリピンの次期大統領であるドゥテルテは、その件について尋ねられて言った。パラが殺されたのは「当然の報い」だと。

【参考記事】アジアのトランプは独裁政治へ走るか

 首都マニラでは先週、ベテランの事件記者であるアレックス・バルコバが家族の経営する時計修理店の前で銃撃されて殺された。犯人はまだわかっていない。この事件を受け「どうやってジャーナリストを守るのか?」と記者会見で質問されたドゥテルテは、悪いジャーナリストは死んで当然だと言い放った。

ジャーナリスト32人が一度に虐殺

「ただジャーナリストであるというだけで、暗殺を免れることはない。クソ野郎であればなおさらだ」とドゥテルテは言う。「パラはその良い例だ。彼の名声を貶めるつもりはないが、本当にクソ野郎だった」

【参考記事】フィリピン次期大統領ドゥテルテ氏、意外に深い華人とのつながり

 フィリピンはジャーナリストにとって非常に危険な国だ。この30年間で少なくとも174人のジャーナリストが殺害された。特に2009年には、32人ものジャーナリストが一度に虐殺される事件があった。しかしドゥテルテは全く意に介さない。

「率直に言って、殺された奴らのほとんどは何かをやらかしたのだ。間違ったことをしなければ、殺されることはない」

 ドゥテルテは大統領選の選挙期間中、犯罪撲滅を公約に掲げていた。何万人もの犯罪者たちを殺してやる、麻薬密売人やイスラム過激派との戦いでは「撃ち殺す」方針で臨む――そう約束していた。ドゥテルテによれば、3~6カ月ですべての犯罪を撲滅できる見込みだ。

銃殺は弾がもったいない

「最初の絞首刑が終わって、その頭部が体から完全に離れるよりも前に、次の絞首刑の準備が始められているだろう」。これは5月初め、現在は廃止されている死刑制度について述べた時の発言だ。銃殺刑だと弾がもったいないので、絞首刑を復活させるという。

 ドゥテルテは言った。「私の国を破壊するつもりなら、殺してやる。ぶっ殺す。妥協点はない。法律要件を満たすかぎり、逮捕から逃れよう、抵抗しよう......暴力で挑んでこようとする者に対して、私はこう命令する。『奴らを殺せ』」

 6月30日、ドゥテルテは第16代大統領に就任する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾総統「26年は重要な年」、主権断固守り防衛力強

ワールド

再送トランプ氏、シカゴやLAなどから州兵撤退表明 

ビジネス

ビットコイン、2022年以来の年間下落 最高値更新

ワールド

ゼレンスキー氏「ぜい弱な和平合意に署名せず」、新年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 8
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中