最新記事

中国経済

シャドーバンキングへの依存強める中国の斜陽産業

2016年5月26日(木)19時34分

 もっとも伝統的な銀行としては、エコノミストが唱えるような経済成長持続のためのより効率的な信用供与を実現するためには、実情に即した信用リスクを融資に反映させなければならない。そしてこうした状況が実際にある程度起こりつつあるようなのだ。

 人民銀行の統計によると、経済的により富裕な地域では第1・四半期も銀行借り入れはおおむね容易で、商業銀行の融資は過去最高水準を記録した。富裕地域の中で、第1・四半期に借入額全体に対する影の銀行のシェアが増えたのは上海だけだった。

 対照的に湖北省、山西省、吉林省、安徽省、河南省、四川省、山東省においては、影の銀行からの融資が第1・四半期に240─249%増加。中国全体での増加率の30%を大きく上回った。

当局の変化

 14年に当局が影の銀行への規制に乗り出した際には、社債のデフォルトを慎重な態度で容認し始めたが、その多くは結果的に救済を受けた。

 しかし今年の場合はもっと事態は深刻だ。これまでに確認されただけでもデフォルトは20件超と未曾有のペースで、特に過剰生産問題を抱える産業では多くの企業が25年ぶりの低成長のもたらす痛みを感じている。

 それでも政策担当者は、自力での存続が難しい「ゾンビ」SOEへの厳しいコメントを相次いで発し、かつてと態度は一変した。このため4月に入ると社債が急激に売り込まれ、信用スプレッドは2012年以降で最も拡大した。投資家が個別の発行体ごとのリスクを織り込み始めたからだ。

 先の上海の資産運用会社ディレクターは「4月全体で見ると、ゾンビSOEへの政府の行動とメッセージは非常に整合的でわかりやすかった」と指摘した。

 4月20日には人民銀行が金融機関に、石炭・鉄鋼企業の「合理的な」資金調達ニーズは支えるべきだが、ずっと赤字を垂れ流して競争力を失っている企業からの融資は「断固として圧縮し、引き揚げる」よう促した。

 (Nathaniel Taplin記者)

[上海 25日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

韓国・イタリア首脳が会談、AI・半導体など協力強化

ワールド

訂正-コロンビアで左翼ゲリラ同士が衝突、27人死亡

ワールド

グアテマラ刑務所で暴動、刑務官ら一時人質 治安非常

ビジネス

新発10年債利回り2.24%に上昇、27年ぶり高水
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中