最新記事

アフガニスタン

子供を斬首したISへの報復を求め、カブールで大規模デモ

女性と子供を含むハザラ人の人質7人の斬首遺体が発見され怒りが爆発

2015年11月12日(木)16時00分
ジャック・ムーア

政府は無策 ISの凶行に抗議して大統領官邸に行進する人々 Ahmad Masood- REUTERS

 アフガニスタンの首都カブールで11日、テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)に斬首処刑されたとみられるハザラ人7人の棺を担ぎ、遺影を掲げた数千人の市民がISISへの報復を叫んで通りを埋め尽くし、大統領官邸に向けて約10キロのデモ行進を行った。

 殺された7人は、男性2人、女性2人、少年2人、少女1人。南部のザブール州で先週末、首を切られた状態で遺体が発見された。CNNによると、7人は10月にザブールで反政府勢力タリバンとISIS関連組織の抗争が起きた時期に誘拐されたらしい。

 デモ隊はアフガニスタン政府のISIS対策の手ぬるさを糾弾、タリバンとアフガニスタンのアシュラフ・ガーニ大統領双方に怒りをぶつけた。ガーニが官邸にいたかどうかは不明だ。

 一部のデモ参加者が塀をよじ登って敷地内に入ろうとしたため、官邸の警備兵が群衆に向けて発砲。7人が負傷したと、アフガニスタンの公衆衛生省が発表した。

犠牲者の出身地に棺を

 大統領官邸に向かう前に、デモ隊は殺されたハザラ人の出身地である南東部ガズニ州の州知事オフィスまで棺を担いで行進した。このときガーニはツイッターで次のように述べた。「ザブール州で起きた残虐な犯罪で、われわれはみな耐え難い苦痛を感じている。(実行犯は)われわれの敵であり、報復を受けるだろう。(われわれは)対立を避け、団結すべきだ」

 7人の首切り処刑は戦争犯罪に当たると、国連も厳しく非難している。

「女性と子供を含む民間人の人質を殺害するのは、とりわけ忌まわしい犯罪だ」と、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)のニコラス・ヘイソン代表は糾弾した。「こうした冷酷な殺害は戦争犯罪にあたり、加害者は法的責任を問われることになる」

 ハザラ人はイラン人と同じペルシャ語を話すイスラム教シーア派教徒で、人口は280万人。アフガニスタンでは3番目に大きい民族だ。アフガニスタンでは、タリバンやアルカイダなどイスラム教スンニ派の武装集団やテロ組織の標的になっている。

「(殺害は)アフガニスタンの人々と政府、同盟国に対する極めて危険なメッセージだ」と、アフガニスタン下院のアブドゥル・ラウフ・イブアヒミ議長はロイターに語った。「これは家族や部族、民族ではなく、アフガニスタン人すべての問題だ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

対ロ和平、ダボス会議で米との協議継続へ ウクライナ

ワールド

米はグリーンランド管理必要、欧州の「弱さ」が理由=

ワールド

イラン大統領、米軍攻撃には「手厳しく反撃」と警告

ワールド

EU、緊急首脳会議開催へ グリーンランド巡る米関税
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中