最新記事

難民危機

幼児の溺死写真が大きな波紋、難民流入問題でEU協議へ

トルコの人気リゾートの砂浜で溺死体で発見された幼児が、EUの難民対策を変えるか──

2015年9月3日(木)15時40分

9月2日、地中海を渡って欧州を目指す難民の問題が深刻化するなか、ソーシャルメディア上では、トルコのリゾート地の砂浜で横たわる溺死した幼児の写真が大きな波紋を呼んでいる。写真はギリシャに向かう難民を乗せたボート。8月撮影(2015年 ロイター/Murad Sezer)

[アンカラ(トルコ)/ローマ/ブダペスト/カレー(フランス) 2日 ロイター] - 地中海を渡って欧州を目指す難民の問題が深刻化するなか、ソーシャルメディア上では2日、トルコのリゾート地の砂浜で横たわる溺死した幼児の写真が大きな波紋を呼んでいる。

写真は同日、トルコの観光地ボドルム近郊の砂浜で撮影されたもので、赤いシャツを着た小さな男の子が波打ち際にうつぶせで横たわっている姿が写っている。別の写真では、険しい表情の警察官が小さな遺体を運んでいる。写真はツイッター上で#KiyiyaVuranInsanlikのハシュタグで直ちに拡散された。

ボドルムでは、ギリシャのコス島を目指していたシリア人とみられる難民少なくとも12人の死亡が確認された。同国の海軍高官によると、そのうち5人が子ども、1人が女性だという。計23人を乗せたボート2隻がそれぞれボドルムを出発していた。

トルコの地元メディアは、溺死した幼児はボートに乗っていた3歳児だったと報じた。5歳の兄も死亡したという。

トルコ軍は過去数日間で、捜索救助隊がトルコ・ギリシャ間の海域で数百人の難民を救出したとしている。

一方、イタリア、フランス、ドイツの3カ国は2日、欧州連合(EU)の既存の難民認定制度の見直しを求めるとともに、難民の受け入れをEU内で公平に分担すべきとの考えで一致した。

イタリア外務省が発表した共同文書によると、3カ国は既存のルールには「明らかに限界や問題点がある」とし、現在の制度を見直す必要があると指摘。大量に流入する難民について、断固とした対応が必要との認識を示した。その上で、4─5日のEU外相会合でこの問題を協議することを求めた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 9

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中