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「決断疲れ」が生産性を奪う

2014年11月7日(金)15時47分
ジェーン・C・フー(科学ライター)

 自我が消耗したり、決断疲れをしたりした人はそれ以上の自制や決断から逃れようとする。そのため受動的になり、安易な選択をしやすくなる。

 ある研究で、被験者グループに無意味で自我を消耗させるような作業をさせた。文書中にある、ほかの母音と2字以上離れている「e」の字を線で消すというものだ(「mechanical」は当てはまるが、「meal」や「vowel」は対象外)。

外部に決断を任せても

 この退屈な作業の後、被験者はビデオを見せられた。真っ白な壁を映しただけという非常につまらないものだ。ただし、自分の好きなときにビデオを止めて、『サタデー・ナイト・ライブ』を見てもいいことにする。

 一方のグループは、ビデオを止めるのにボタンを押さなければならない。もう一方のグループは、ビデオを止めるにはボタンの上に置いてある指を離さなければならない。するとビデオを見ている時間は、前者のほうが長かった。自我が消耗し過ぎて、ボタンを押すことさえ億劫になったのだ。

 日常生活で、意思決定や自制は避けられないもの。だったら、そうした行為を意識的にうまくコントロールすることで、日々の生産性を保てるのではないか。

 第1に、重要な問題は1日の早いうちに済ませること。いらいらが限界点に達したり、休憩室のドーナツに気を取られたりする前にだ。頭の中がフレッシュなうちに「やることリスト」を片付けるのは、早まった決断を避けるためにも賢い戦略だ。

 次に、選択の幅を狭めること。例えば、重要な会食のためのレストランを選ぶとしよう。最初に地区や料理の種類を決めてしまえば、店の候補は絞られる。選択肢が少ないほど、人は決断に悩むことが少ない。

 そして、いったん決断したら変えないこと。完璧な決断などないのだから、頭の中の否定的な声は無視して、最善の選択をしたと自分に言い聞かせる。後であれこれ悩めば、さらなる決断が必要になってくる。

 そのほうが結局は満足できる可能性が高い。研究によれば、最低限度の条件を満たせばいいと考える人は、ベストな選択をしようとする人より、自らの判断に満足することが多い。

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