最新記事

北朝鮮

「戦時態勢」に入った北朝鮮の本気度

休戦協定を白紙化しホットラインも遮断した北朝鮮の真意は

2013年3月12日(火)18時19分
プリヤンカ・ボガーニ、ジェフリー・ケイン

危険な駆け引き 金正恩は新たな朝鮮戦争の引き金を引くつもりか KCNA-Reuters

 3月11日から米韓両軍の合同軍事演習「キー・リゾルブ」が始まったことで、北朝鮮と韓国の間で緊張が高まっている。既に北朝鮮は韓国政府との直通電話を遮断し、今回の演習は北に侵攻する予行演習だと非難。朝鮮戦争の休戦協定を白紙化し、韓国とのホットラインも遮断するなどして、「戦時態勢にある」と表明した。

 もっとも、こうした演習はこれまでも毎年行われてきた。米韓政府によれば、今年は米軍から3000人以上、韓国軍からは1万人が参加するという。「今年のは特に重要だ。韓国軍の合同統合参謀本部が主導する初めての演習だからだ」と、ジェームズ・サーマン韓米連合軍司令官は語った。「2015年12月には『有事作戦統制権』が在韓米軍から韓国軍へ移譲される予定だ。それに向けた大きな一歩にもなる」

 朝鮮半島では、他の軍事演習も並行して行われている。3月1日からは野外機動訓練「フォール・イーグル」がスタート(4月末まで)。参加する米兵はおよそ1万人、韓国側からは約20万人の兵士が参加する見通しだ。

韓国の新リーダーへの挑戦状

 これまでも米韓の合同軍事演習は、北朝鮮から強い反発を招いてきた。しかし今回は、北朝鮮が2月に行った核実験や、先週に国連が全会一致で採択した北への制裁強化決議を受けて緊張が一層高まっている。

 ブルームバーグによれば、韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は「北は毎日のように戦争の脅威を私たちに振りかざしている。北に核兵器を放棄させるには、国際社会との密接な協力が不可欠だ」と発言した。

 ソウルでは、今回の北の強硬姿勢がこれまでと違うかどうかをめぐって、議論が分かれているという。核兵器を開発して先制攻撃に出る体制を整え、これまでより大きなリスクを冒しても譲歩を引き出そうとしているとみる向きもあるが、一方ではいつもと同じカードを使っているだけだとする声もいる。

 釜山大学の政治学教授ロバート・ケリーは、北の強硬姿勢は単に国連の新たな制裁措置への反発ではないと指摘する。初の女性大統領となった朴の力を試している可能性もあるという。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

「ガザは燃えている」、イスラエル軍が地上攻撃開始 

ビジネス

英雇用7カ月連続減、賃金伸び鈍化 失業率4.7%

ワールド

国連調査委、ガザのジェノサイド認定 イスラエル指導

ビジネス

25年全国基準地価は+1.5%、4年連続上昇 大都
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中