最新記事

中国

北京で勃発「iPhone 4Sの乱」

発売日に客が殺到したアップルストア第1号店は暴動さながらの大混乱。北京と上海では異例の発売中止に

2012年1月16日(月)16時54分
キャスリーン・マクラフリン

人気の証? 北京・三里屯地区のアップルストア前でiPhone 4Sの発売を待ちわびる客たちが警官隊と衝突(1月13日) David Gray-Reuters

 先週、北京でまたしても暴動が発生した。しかし今回は建物の取り壊し反対でもなく、工場労働者のストでもない。大勢の警官隊が暴動を鎮圧するために駆けつけたのは――アップルストアだ。

 13日にiPhone 4Sの発売を控え、北京の三里屯地区にあるアップルストア前には前日から数百人の市民が徹夜で行列を作った。行列客の多くはダフ屋か、ダフ屋に数ドルで雇われた者とみられる。

 しかし夜が明けて、発売予定時刻の午前7時になっても店の扉は閉ざされたまま。しびれを切らした客たちが騒ぎ始め、30分もしないうちに大規模な暴動さながらの事態に発展した。やじが飛び交い、店舗には卵が投げつけられ、やがて警官隊が押し寄せて客たちともみ合いになった。

 午後になっても、店は閉まったまま。その後、アップル社は北京と上海の店舗でのiPhone 4Sの発売中止を発表した。


 残念ながら、三里屯地区の店舗はお客様が殺到したため、開店できませんでした。お客様と従業員の安全を確保するため、しばらくの間、北京と上海の店舗ではiPhoneの発売を見合わせます。iPhoneは引き続き、アップルのオンラインストアやチャイナ・ユニコムなどの正規代理店で購入可能です。


 アップル社によれば、iPhone 4Sは北京と上海以外の店舗で既に完売。三里屯地区のアップルストアの前から客が姿を消した後も、周辺のショッピング街「ビレッジ」では警官がいたるところに配置され、まるで労働者の暴動が起きた後のような様子だった。

 中国のアップルストア第1号店である三里屯地区の店舗で騒ぎが起きたのは、今回が初めてではない。昨年5月にも、新モデルのiPadの発売時に行列を作っていた客同士がいさかいを起こし、店舗が一時閉鎖に追い込まれた。人気ブランドも楽じゃない?

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、「中立金利」到達まで0.5%幅の利下げ必要

ワールド

米国版の半導体の集積拠点、台湾が「協力分野」で構想

ワールド

アフガン北部でM6.3の地震、20人死亡・数百人負

ワールド

米国防長官が板門店訪問、米韓同盟の強さ象徴と韓国国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 7
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中