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インドネシア人家政婦サウジで斬首刑の波紋

雇い主を殺し斬首刑になった家政婦の事件から、出稼ぎインドネシア人女性に対する虐待が外交問題に

2011年9月20日(火)15時17分
パトリック・ウィン

虐待も覚悟の上? それでもサウジへ出稼ぎに行こうとするインドネシア人(写真は6月22日) Sulthan Hadiwijaya-Reuters

 出稼ぎ家政婦をめぐって、インドネシアとサウジアラビアの間で外交問題が起きている。サウジアラビアで先日、インドネシア人家政婦が雇い主を殺害した罪で斬首刑に処せられた。処刑されたのは、インドネシアからサウジアラビアに出稼ぎに来ていたルヤティ・ビンティ・サトゥビ。インドネシアからは多くの女性が家政婦として裕福な国へ出稼ぎに行っているが、彼女もそんな1人だった。

 人権団体は、ルヤティの犯行動機は雇用主からの虐待だったとする証拠があると主張。彼女が斬首されたと家族が知ったのは、死刑執行の翌日だった。

 サウジアラビアで雇用主と外国人家政婦の間で事件が起きたのは、今回が初めてではない。昨年は、路上でインドネシア人家政婦の遺体が発見された。唇をはさみで切られるなどの暴行を受けた家政婦もいる。サウジアラビアで働く外国人家政婦は長年、雇い主による虐待を繰り返し訴えてきた。

 インドネシア政府はこれまで、駐サウジアラビア大使を召還するなどの方法で抗議してきた。だが今回の斬首刑を受け、インドネシアのユドヨノ大統領はサウジアラビアへの労働者派遣を8月から停止すると発表した。

GlobalPost.com特約

[2011年7月 6日号掲載]

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