最新記事

特集

世界に誇る日本力

外国からの評価を気にする時代はとっくに過ぎ去った──テクノロジーや文化、震災で見せた忍耐のほかにも、この国には底知れない力がある

2011年5月11日(水)07時11分
横田 孝(本誌編集長/国際版東京特派員)

前へ前へ 本当に考えるべきは、外国からの評判ではなく日本が世界で何をしたいのかだ

 世界の鏡に日本はどう映っているのか。

 自国の現状や問題点を語る際、日本メディアは長年、こんな発想を出発点にしてきた。この基本姿勢の延長には、日本が「世界に劣っている」「世界から取り残される」というたぐいの主張があった。

 それはさまざまな形で表現されてきた。毎年のように総理大臣が代わる状況に世界は「あきれている」という外国人識者のコメントを引用する新聞。サムスンをはじめとする韓国企業の勢いに、ソニーなどの日本勢が「取り残される」と主張するビジネス誌。スポーツの国際試合で日本が負けると、「世界の壁は厚かった」というお決まりのせりふを絶叫するアナウンサー。

 こんな具合に、日本人は常に「世界」を意識してきた。「追い付け追い越せ」という合言葉が叫ばれた明治の開国期や戦後復興期のように、「世界」の背中を追い掛けることが日本を突き動かす原動力であり、メディアにとってある種の筋書き、あるいは「物語」であり続けた──これまでは。

 実はこの記事の冒頭の1行目は、25年前の本誌創刊号に掲載された特集記事の書き出しだ。今、その一文を読んでも違和感がなかったとすれば、日本人の意識は25年前から大して変わっていないことになる。

 これまで「世界」に自らを照らし合わせ、その影を追い掛けた裏には、進んでいるのは「世界」のほうであり、遅れているのは日本だという前提があった。つまり、日本は「進んでいる世界」の一部ではない、という認識だ。...本文続く

──ここから先は5月11日発売の『ニューズウィーク日本版』 2011年5月18日号をご覧ください。
<デジタル版のご購入はこちら
<iPad版、iPhone版のご購入はこちら
<定期購読のお申し込みはこちら
 または書店、駅売店にてお求めください。

他にも
■世界を変えた日本の革新的アイデア
「スポーツ日本人論」という神話
■「日韓逆転」の勘違い
■世界が尊敬する日本人
など、日本人と「日本力」を総力特集!

<最新号の目次はこちら

[2011年5月18日号掲載]

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ウクライナ、中国企業3社を制裁リストに追加

ワールド

トランプ米大統領の優先事項「はっきりしてきた」=赤

ワールド

イスラエル、ガザで40カ所空爆 少なくとも30人死

ワールド

米がウクライナ和平仲介断念も 国務長官指摘 数日で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判もなく中米の監禁センターに送られ、間違いとわかっても帰還は望めない
  • 3
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 4
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 5
    紅茶をこよなく愛するイギリス人の僕がティーバッグ…
  • 6
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 7
    ノーベル賞作家のハン・ガン氏が3回読んだ美学者の…
  • 8
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 9
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 10
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 6
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 7
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 8
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中